「通算成績」の多くは、過去のレジェンドが上位を占めているが、上位10、20と範囲を広げると現役選手がランクインし始める。しかし、中には上位30まで範囲を広げても、現役選手は誰もランクインしない通算成績も少なくない。「Top30でも現役選手が入らない通算記録」をまとめてみた。
30位までに現役選手0人の打撃部門は?
巨人・坂本が30位に近い成績を残している項目もあるが……
まずは打撃部門の「Top30でも現役選手が入らない通算成績」だ。
●試合
谷繁元信が3021試合で歴代最多の「通算試合」だが、上位30位までに現役選手の名前はない。昨季までは歴代22位に2243試合の
鳥谷敬がランクインしていたが、惜しまれつつ現役を引退。そのため、現役最多は2075試合で歴代41位の
西武・
栗山巧となる。
●打数
打数の歴代トップは
野村克也でなんと1万472打数。1万超えはNPB史上野村のみ。一方、歴代30位は
柴田勲の7570打数で、ここまでに現役選手はなし。現役最多は7276打数の
坂本勇人で、歴代では37位だ。
●塁打
歴代最多は
王貞治が記録した5862塁打。歴代30位には
稲葉篤紀が3477塁打でランクインしている。現役選手は「打数」と同じく坂本勇人。歴代37位の通算3347塁打となっている。
●盗塁刺
盗塁刺は
福本豊の299回が歴代最多だが、この記録は上位30まではおろか、NPBが公開している上位40位まで現役選手はなし。現役トップは
中日の
大島洋平で102回。39位には
小玉明利と
山崎裕之が105回で並んでおり、あと3回でこの記録に並ぶことになる。
●故意四球
故意四球、いわゆる「敬遠」は427回の王貞治が歴代1位。2位の
張本勲が228回なので、200回近い差のある圧倒的な記録だ。この記録もNPBが公開している上位40位(歴代38位に4選手が64回で並んでいる)までに現役選手の名前はない。現役では坂本勇人の51回が最多。上位40位までの差は大きい。
アンタッチャブルな記録に現役投手は及ばず
今後、巨人・菅野は完封勝利や無四球試合で上位に食い込めるだろうか
次に、投手部門での「Top30でも現役選手が入らない通算成績」を調べてみた。
●完投
金田正一が365完投で歴代最多だが、上位30位どころか40位までも現役選手は入っていない。現役最多は、
楽天の
涌井秀章が積み重ねた59完投(72完投でトップだった
松坂大輔が昨季で引退)だが、歴代40位の
秋山登は132完投のため遠く及ばない。近年完投する投手自体が減っており、これから先、この記録の上位に食い込む選手は出ないかもしれない。
●完封勝利
完封勝利は巨人の伝説的投手、
ヴィクトル・スタルヒンの83勝が歴代最多。次いで金田正一の82勝となっている。こちらも完投数と同じく上位40位までに現役選手はいない。現役最多は
日本ハムの
金子千尋、巨人の
菅野智之が記録した21勝。歴代39位には27勝で
江川卓をはじめとする5選手が並んでいるが、果たしてここに並べるだろうか。
●無四球試合
無四球試合の歴代最多は
鈴木啓示で78試合。現役最多は涌井秀章の13試合のため、歴代トップはもちろん、歴代39位の19試合にも届いていない。もし上位に食い込むとすれば、12試合で現役2位タイの菅野智之だろう。過去には4度の無四球試合を記録したシーズンもあり、今後次第ではあるが、上位にランクインする可能性は十分だ。
●勝利
通算勝利数は400勝という金字塔を打ち立てた金田正一が歴代最多。一方、現役最多は
ヤクルトの
石川雅規で177勝。歴代では36位にランクインしている。歴代30位は
杉浦忠と
足立光宏の187勝でその差は10勝。今季中に並ぶとこともあり得るだろう。
●与四球
与四球も勝利と同じく金田正一が歴代最多。なんと1808個の四球を与えている。歴代2位の
米田哲也が1480個。1位と2位とで300以上の差がある。現役最多は涌井秀章の754個で、歴代40位が
坂井勝二の817個となっている。
●通算防御率
通算防御率トップは1リーグ時代から活躍した
藤本英雄。防御率1.90と驚異的な数字を残している。他にも通算防御率上位は
稲尾和久や
若林忠志、
村山実などレジェンドが並んでいる。現役1位は楽天の
岸孝之で通算防御率3.06。歴代では39位という好記録だが、上位勢の圧倒的な数字の前には、かすんで見えてしまうのが悲しいところだ。
「Top30でも現役選手が入らない通算記録」を調べたところ、打撃部門は5項目、投手部門は6項目が該当した。上位30位までに名前はない記録でも、坂本や菅野など今後ランクインしそうな現役選手がいる。上位勢に対し、今後どこまで迫れるのかに注目だ。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM