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背番号物語

【背番号物語】ソフトバンク「#2」“城島派”と“今宮派”の二大勢力は「1」よりも早く物語に異変あり?

 

ダイエーは城島、ソフトバンクは今宮


背番号「2」を着け、ダイエー、ソフトバンクなどで強打の捕手として活躍した城島


 2019年シーズン途中に来日、入団した右腕のスチュワート・ジュニアが背負っているソフトバンクの「2」。ドラフト1位で22年に入団した右腕の風間球打が1年目から「1」を着けて異例の展開となっているソフトバンクだが、物語が新しい章に突入したのは「2」のほうが早かったといえるのかもしれない。一般的には「1」と「2」には打線の主役とワキ役が続いているケースが多いが、「1」と「2」に若い右腕が並んでいるのも異色だ。ただ、まだスチュワート・ジュニアは通算11試合の登板で勝ち星はなく、物語は大きな動きを見せていない。

 一方で、過去に「2」を背負った男たちのインパクトは強烈だ。「2」は全体的に捕手と遊撃手の二大勢力といえる背番号だが、平成のプロ野球ファンにとって、ホークスの「2」はダイエーでは捕手、ソフトバンクでは遊撃手と二分されるだろう。ダイエーの「2」は捕手の城島健司、ソフトバンクの「2」は遊撃手の今宮健太。両者ともにドラフト1位で入団して期待に応え、それぞれの黄金時代を支えた鷹の功労者といえる存在だ。

2010年にドラフト1位でソフトバンクに入団した今宮。18年まで「2」を背負った


 今宮は19年から「6」に変更。高校野球では遊撃手の背番号で、プロ野球では遊撃手に限らず好打の内野手が多いナンバーでもある。背番号では違う系譜へ“移籍”したものの、まだまだ今宮の物語は続いている。対照的に、キャリアを通して「2」を背負い続けたのが城島。1年目の1995年から「2」を与えられ、英才教育もあって97年にブレーク。99年には全試合に出場して攻守でチームの要となってダイエー初のリーグ優勝、日本一に貢献した。

 03年にはプロ野球の捕手で初めてフルイニング出場、打っても打率3割、30本塁打、100打点を突破して、ダイエーも日本一となり、城島がMVPに輝いている。チームがソフトバンクとなった05年オフには、やはりプロ野球で初めて捕手としてメジャーに挑戦。FAでマリナーズへ移籍、言葉の壁も乗り越えて正捕手として活躍した。10年に阪神でプロ野球へ復帰、1年目は全試合に出場して、捕手としてシーズン安打の頂点に。その後は故障もあってポジションは一塁へ回ったが、12年オフに現役を引退するまで背番号は変わらなかった。

 現在でもファンは“城島派”と“今宮派”に二分しそうだが、捕手と遊撃手の二大勢力という構図はチームが南海だった時代も同様だ。

最長は遊撃手、分水嶺には捕手


 南海がプロ野球へ参加したのは、まだ春季と秋季の2シーズン制だった1938年の秋から。その初代で、40年まで背負った吉川義次は捕手で、その40年は四番打者を務めた強打者。そのオフに退団も、44年に復帰して三塁へ回った。このときの背番号は、なし。戦局の悪化で背番号が廃止されたためだ。吉川は戦後に復帰して「3」を着けたが、シーズン中に移籍して、そのオフに引退している。

南海で「2」を背負い、人気を博した“ドカベン”香川


 時は流れ、南海の「2」で人気を博した捕手が“ドカベン”香川伸行だ。80年に入団して初打席本塁打の鮮烈デビュー。城島と同様、一貫して「2」を背負い、チームがダイエーとなった89年までプレーしたことで南海の最後、ダイエーの最初に「2」だったのが香川だ。香川は吉川と同様、現役の終盤には三塁も守った。また、ホークスの愛称が始まったのは47年の6月だが、ホークスの初代「2」も捕手の筒井敬三。インサイドワークに長けた戦後1リーグ時代を支えた司令塔で、「2」の系譜では4代目となる。

ホークスで最長となる現役時代、14年にわたって「2」を着けた小池


 こうなると“城島派”が優勢にも見えてくるものの、“今宮派”も負けていない。着けた期間で今宮の9年は4位だが、3位が香川の10年で、2位が城島の11年。これらをしのぐ14年、指導者としても含めれば15年でトップに君臨する小池兼司が遊撃手だった。61年に入団、やはり1年目から「2」を背負って翌62年には遊撃のレギュラーとなって全試合に出場すると、その2年目から引退まで1438試合に出場して、そのうち遊撃ではないポジションを守ったのは2試合のみ。身長169センチとプロ野球選手としては小柄ながら、堅実なうえに果敢で華麗な遊撃守備が魅力だったなど、今宮の印象とも重なる。

【ソフトバンク】主な背番号2の選手
小池兼司(1961〜75)
香川伸行(1980〜89)
城島健司(1995〜2005)
今宮健太(2010〜18)
スチュワート・ジュニア(2019〜)

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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