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プロ野球記録ノート

阪神は昨季ドーム球場でセ1位の勝率…「ドーム球場」「屋外球場」に強いチームを検証【プロ野球記録ノート】

 

ヤクルト、阪神は両方で勝ち越し


阪神は昨季、ドーム球場でセ・リーグNo.1の成績を残した


 現在ドーム球場をフランチャイズとしているのは巨人(東京ドーム)、中日(バンテリンドーム)、オリックス(京セラドーム)、ソフトバンク(PayPayドーム)、日本ハム(札幌ドーム)、西武(ベルーナドーム、昨年までメットライフドーム)と半分の6球団。ドーム球場が初めて開場したのは、いまから34年前の1988年の東京ドーム。その年の開幕はセ・パともに4月8日だったが、前日の深夜から東京では季節外れの雪が降り午前中には9センチの積雪。郊外で10センチ以上積もった西武球場(現ベルーナドーム)の西武対南海戦は中止となったが、東京ドームでのデーゲームの巨人対ヤクルトとナイトゲームの日本ハム対ロッテは予定どおり行われ、いきなりドーム球場の強みを発揮した形となった。

 このようにドーム球場は雨や雪などには左右されず基本的に開催できるのだが、気温や風の影響もない。一方屋外球場は、猛暑が年々厳しくなっている夏の暑さや、楽天生命パークでは3、4月にたまに見られる降雪、ZOZOマリンでは名物になっている強風など、少なくとも試合に影響を及ぼす自然現象がある。

 ここでチーム別にドーム、屋外に分けた勝敗を出してみた(ただしベルーナドームは気温や風の影響を受ける可能性があるので屋外として集計)。

 まずはセ・リーグのドーム球場の成績(☆はドーム球場が本拠地、以下同)。

1位 阪神   23勝13敗3分 勝率.639
2位 ヤクルト 16勝13敗8分 勝率.552
3位☆中日   41勝37敗11分 勝率.526
4位 広島   18勝20敗2分 勝率.474
5位☆巨人   33勝39敗14分 勝率.458
6位 DeNA   14勝19敗5分 勝率.424

 続いてセ・リーグの屋外球場の成績。

1位 ヤクルト 57勝39敗10分 勝率.594
2位 阪神   54勝43敗7分 勝率.557
3位☆巨人   28勝23敗6分 勝率.549
4位 広島   45勝48敗10分 勝率.484
5位 DeNA   40勝54敗11分 勝率.426
6位☆中日   14勝34敗6分 勝率.292

 優勝したヤクルトと2位の阪神はドーム、屋外ともに勝率5割を超えている。

 ヤクルトは本拠地・神宮で32勝25敗5分け、勝率.561の成績だったが、マツダ広島では9勝2敗1分け、横浜でも8勝2敗1分けと大きく勝ち越して屋外ではリーグトップの成績。阪神は本拠地・甲子園では30勝28敗2分け、勝率.517とやや苦戦したが、横浜で7勝3敗、神宮7勝4敗1分けと勝ち越し。2020年に7勝19敗1分けと大きく負け越したドームでは、東京ドーム(巨人以外でDeNA戦もあり)が9勝4敗2分け、京セラドームが6勝3敗、交流戦での札幌ドーム3連勝と大きく勝ち越した。

 リーグ3連覇を目指した巨人は2019年は37勝27敗、2020年は39勝16敗3分けと本拠地・東京ドームでは無類の強さを見せたが、昨季は28勝29敗9分けと負け越した。ほかのドームでも5勝10敗5分けと苦戦した。屋外では地方球場と交流戦のZOZOマリンと普段はあまり使用しない球場で6勝3敗の成績を残している。

本拠地のバンテリンドームなどドーム球場では強かった中日だが……


 広島とDeNAはドーム、屋外ともにほぼ勝率は一緒だが、中日は大きな差が出た。ドームではリーグ3番目の勝率.526と勝ち越しいているが、屋外では借金20、勝率.292と12球団でも最低の数字だった。特にセの本拠地(神宮、横浜、甲子園、マツダ広島)では11勝29敗5分け、勝率.275と散々な成績だった。中日は本拠地のバンテリンドームには強く2017年から5年連続勝ち越し。一方屋外は2015年から7年連続負け越し。勝率2割台が2度、3割台が2度、4割台3度すべてが4割5分以下だった。全体の約3分の1が屋外の球場だが、優勝を狙うには屋外克服が必要かもしれない。

パ・リーグの傾向は?


 続いてパ・リーグのドーム球場の成績。

1位 ロッテ    15勝12敗9分 勝率.556
2位 楽天     16勝13敗7分 勝率.552
3位☆オリックス  43勝36敗14分 勝率.544
4位☆ソフトバンク 37勝41敗15分 勝率.474
5位☆日本ハム   33勝42敗15分 勝率.440
6位 西武     14勝18敗5分 勝率.438

 パ・リーグの屋外球場の成績。

1位☆オリックス  27勝19敗4分 勝率.587
2位 ロッテ    52勝45敗10分 勝率.536
3位☆ソフトバンク 23勝21敗6分 勝率.523
4位 楽天     50勝49敗8分 勝率.505
5位☆日本ハム   22勝26敗5分 勝率.458
6位 西武     41勝52敗13分 勝率.441

 パ・リーグはセ・リーグほど顕著な傾向はなかった。ただ屋外を本拠地とするチームはドームに強く、ドームを本拠地とするチームは屋外に強いという傾向にはあった。

 優勝したオリックスは京セラドームが34勝21敗10分け、勝率.618で、屋外の準フランチャイズのほっともっと神戸では4勝1敗1分け、勝率.800。屋外では優勝を争ったロッテの本拠地・ZOZOマリンで7勝4敗1分けと勝ち越している。

ソフトバンクは昨季、本拠地・PayPayドームでの勝率が悪化。敵地のドーム球場では負け越した


 日本シリーズ5連覇を目指していたソフトバンクはドーム球場で負け越している。2020年はドームで57勝24敗3分け、勝率.704(屋外は勝率.471)、2019年もドームは56勝32敗4分け、勝率.636(屋外は勝率.400)と圧倒的な強さを見せていた。昨季は本拠地のPayPayドームで29勝27敗11分け、勝率.518と辛うじて勝ち越したものの、敵地のドームでは8勝14敗4分けだった。

 12球団の勝率で見ると、2019年は屋外を本拠地にしているチームが屋外成績の上位を6チームが独占。ドームを本拠地にしているチームがドームの上位5チームを占めた。この傾向は2020年もあまり変わらず、屋外の5割以上は5チームすべて屋外本拠地チームで、ドームの6割以上の3チームはすべてドーム本拠地チームだった。ところが昨季はその傾向は変わった。

 東京オリンピック・パラリンピックの開催のため、暑い夏場に1カ月公式戦がなかったことや、ヤクルトやDeNAが東京ドームを本拠にして試合を行った影響があったのかもしれない。今季は2019年と同様に通常日程で143試合行われる。どんな傾向が出てくるのか注目してみたい。

文=永山智浩 写真=BBM
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