開幕に向けてオープン戦が始まるが各球団、続々と注目選手が対外試合のグラウンドに立つ。レギュラー奪取を誓う選手、新天地で真価を発揮する選手、新たな取り組みを実戦で試す選手など、テーマはそれぞれだ。その中で最も熱視線を送りたい選手は誰か。セ・リーグ6球団のオープン戦「最注目選手」は? 読売ジャイアンツ
右ヒジのトミー・ジョン手術でルーキーイヤーの昨年は多くの時間をリハビリに費やした山崎伊織だが、大卒2年目の右腕は「ケガさえなければ即戦力のドライチ級」という評価が本物だったことを証明しつつある。キャンプ序盤からブルペンで首脳陣をうならせると、初の実戦となった紅白戦では1回3失点を喫したものの、対外試合では最初の2試合で計4回を1安打無失点。
桑田真澄投手チーフコーチも「調子を上げてきているので非常に楽しみ」と期待を寄せている。開幕先発ローテーション入りも視野に入ってきただけに、オープン戦ではさらなる結果を求めていく。
中日ドラゴンズ
ルーキーとは思えないほど大きな存在感を見せている。駒大からドラフト2位で入団した鵜飼航丞だ。キャンプ中に計測したスイングスピードではチームトップの数値をたたき出している。底知れぬパワー。さすがは昨秋、東都リーグ記録となる4試合連続本塁打を打っただけのことはある。長距離砲が不在な打線だけに、
立浪和義監督も「どんどん実戦で使っていきたい」と目を細める。キャンプを訪れた
清原和博氏(元
西武ほか)からはバッティングについて貴重なアドバイスをもらった。将来の四番候補として高卒3年目の
石川昂弥が注目されているが、鵜飼も候補の一人だろう。
東京ヤクルトスワローズ
開幕投手の筆頭候補として大きな注目を集めるのは、3年目の奥川恭伸だ。しかし、初実戦となった2月20日の
ロッテ戦(浦添)では、先頭から3者連続四死球を与えるなど2回途中6失点。ストレートは最速149キロを記録したが、変化球の制球に苦しんだ。それでも
高津臣吾監督は「特に心配していない」と信頼は揺るがず。奥川はさっそく23日にブルペンで変化球を投げ込み、修正に取り組んだ。開幕ローテーション入りは確定的だが、目指すのは3月25日の開幕戦のマウンド。果たして変化球の精度を上げることができるのか、オープン戦の投球に注目だ。
阪神タイガース
下肢のコンディション不良でキャンプ二軍スタートの
中野拓夢の回復具合では、開幕時に遊撃のポジションが空席になる。現在は
木浪聖也などがその座を狙っているが、一番注目されるのは高卒4年目の小幡竜平だ。強肩であり、柔軟なグラブさばきで足も速く守備には定評がある。課題は打撃だが、その点も改善を見せている。2月20日の中日との練習試合(宜野座)では左中間に二塁打を放ち、ケース打撃の一、三塁の場面ではセーフティスクイズを決めるなど小技も見せた。「勝ち上がってきたヤツを使う。それは竜平自身がつかむもの」と
矢野燿大監督も期待を込める。オープン戦でのサバイバルで結果を残し、その座をつかむのみだ。
広島東洋カープ
本当に“ポスト
鈴木誠也”として穴を埋められるか。ドラフト3位ルーキー・中村健人は即戦力の前評判どおり、キャンプ初日から猛アピール。逆方向へも飛ばせる長打力は最大の魅力で、紅白戦、対外試合と“チーム1号”を記録した。そのパワフルな打撃で周囲を圧倒。と同時に“実戦派”として日に日に期待は大きくなっており、オープン戦でもその活躍ぶりが楽しみな存在であることは間違いない。本人はいかに「自分らしさ」を出せるかを大事にしているが、それが結果にもつながっているのだから大したもの。オープン戦の結果次第では、1年目から中軸を任されるという可能性も十分にある。
横浜DeNAベイスターズ
日本ハムからDeNAに移籍。新天地で14年目のシーズンを迎える大田泰示に寄せられる期待が大きくなっている。キャンプ終盤に入り、
佐野恵太が右腹斜筋の肉離れで離脱。その穴を埋める存在として大田が注目される。初の実戦となった2月16日の練習試合・広島戦(コザ)の1打席目に左前適時打を放って新天地デビューを果たすと、22日の同カード(宜野湾)では「二番・左翼」でスタメン出場。初回、無死一塁から右前に運ぶチーム打撃でチャンスを広げた。
三浦大輔監督が「生き生きとプレーしている姿がチームをいい雰囲気にしている」と評価する31歳が、外野のポジション争いに名乗りを上げる。
写真=BBM