新庄剛志監督が就任し、大幅な若返りを図っている日本ハム。一方、かつて主力で活躍した選手たちは新天地で巻き返しを誓っている。中田翔、西川遥輝、大田泰示……昨年は不本意な成績に終わったが、その実績は折り紙付きだ。リーグ優勝を狙う上で3選手はキーマンになる。

キャンプで際立った仕上がりの良さ

・中田翔(巨人)
個人成績34試合出場、打率.154、3本塁打、7打点、0盗塁
通算成績1495試合出場、打率.248、264本塁打、957打点、14盗塁

　野球人生の危機を迎えた昨年の悔しさは忘れられない。その決意は肉体改造に表れている。昨オフは下半身を中心にしたウエートトレーニングに打ち込み、20キロ増の体重112キロに。体が一回り大きくなり力強さを取り戻している。沖縄での実戦5試合は12打数5安打で打率.417。春季キャンプで仕上がりの良さは際立っていた。

　日本ハムで打点王3度獲得するなど、不動の四番で活躍してきた。巨人OBで野球評論家のデーブ大久保氏は昨年9月に週刊ベースボールのコラムで、「無期限謹慎から、移籍してすぐに試合に出場し、本塁打を打ちました。私も過去に同じような経験をしました。償う気持ちは十分にあります。だからこそ、立ち直るきっかけを与えてやってほしい、とは思います。私もそうでしたが、中田はいろいろな行動に恐怖心があると思います。でも幸いに巨人には同世代の実力のある選手たちがひしめいています。その中でやんちゃはできない。みんなのあとをついていくぐらいの謙虚な気持ちでプレーすれば、おのずと成績はついてきますし、やはり成績で答えを出すしかないと思いますね」と思いをつづっている。完全復活なるか。

理想的なリードオフマン

・西川遥輝(楽天)
個人成績130試合出場、打率.233、3本塁打、35打点、24盗塁
通算成績1227試合出場、打率.281、54本塁打、381打点、311盗塁

　楽天待望のリードオフマンだ。2月の練習試合、オープン戦で主に一番打者でスタメン出場し、早くも能力の高さを発揮してる。2月24日の練習試合・巨人戦(那覇)では初回に右前打で出塁すると盗塁を決め、小郷裕哉の右前打で制のホームイン。3回も先頭で四球を選んで出塁すると、再び二盗に成功して和田恋の右前打で本塁生還した。

　俊足巧打のプレースタイルで選球眼にも優れている。リードオフマンとして理想形と言えるだろう。日本ハムでは通算出塁率.380と球界を代表する一番打者として長年活躍してきた。昨年は打撃不振に苦しんだが、自身4度目の盗塁王を獲得した。楽天は昨季までチーム盗塁数が4年連続リーグ最下位で、一番打者をなかなか固定できなかった。西川が入ることでチャンスメークの機会が増え、得点力が一気にはね上がる可能性も十分。まだ29歳と選手としてこれから脂がのり切る時期だ。同一リーグの日本ハムと対戦する機会が多いが、活躍した姿を見せるのがファンへの恩返しになるだろう。

“地元”で期待される大暴れ

・大田泰示(DeNA)
個人成績76試合出場、打率.204、3本塁打、20打点、1盗塁
通算成績770試合出場、打率.261、75本塁打、310打点、29盗塁

　東海大相模高で通算65本塁打をマークした長距離砲はドラフト1位で入団した巨人で松井秀喜の背番号「55」を継承し、大きな期待を掛けられたが一軍定着できずに2016年オフに日本ハムへトレード。この移籍が野球人生の大きな転機となった。17年に外野で定位置をつかみ、巨人在籍8年間で放った9本塁打を上回る15本塁打をマーク。19年に打率.289、20本塁打、77打点と自己最高の成績を更新し、20年は外野手でリーグ2位の7補殺を記録して自身初のゴールデン・グラブ賞を獲得した。

　昨年は打撃の状態が上がらず、レギュラーを剥奪されてオフに自由契約で退団。複数の球団が興味を示す中、獲得に熱心だったのがDeNAだった。外野は20年首位打者・佐野恵太、リードオフマンの桑原将志、強打者・オースティンとレギュラーの3枠が固まっているが、選手層の薄さが懸案事項で大田の補強は大きなプラスアルファになる。潜在能力の高さは誰もが認める。高校時代に慣れ親しんだ横浜スタジアムで大暴れしたい。

写真＝BBM