今季も2月末現在で27人の新外国人選手(育成除く)が登録されている。現在は何人でも外国人を支配下登録(一軍は4人、2020〜2021年は特例で5人)できるが、1966年から1980年までは2人しか獲れず、1981年からは3人になったものの1993年までは一軍に出場できるのは2人までと「狭き門」だった外国人枠。そのため各チームは野手の外国人がほとんどだった。それが90年代に一気に緩和され、現在では投手のほうが多い球団もある。多く獲得できる一方で、ほとんど活躍もなく帰国する選手も数多くいる。
そこで現行12球団(
楽天が加入した2005年から)の外国人打者の在籍年数を調べてみた(今季も含む。育成選手のみの在籍者は除き、年数は支配下登録のみ。2005年に在籍した外国人は、それ以前もカウント)。今回はセ・リーグ編。
【2005年以降のセ外国人打者在籍年数】
ヤ 神 巨 広 中 デ
1年 7 7 19 16 9 11
2年 4 6 12 7 4 7
3年 0 2 2 1 5 1
4年 2 2 1 0 3 0
5年 1 0 1 1 0 1
6年 0 1 0 0 0 1
7年 1 0 0 1 1 0
8年 0 0 0 0 0 0
9年 1 0 0 0 0 0
合計 16 18 35 26 22 21
東京ヤクルトスワローズ
ヤクルトは最も少ない16人だが、4年以上在籍したのは5人と最も多い。最高は9年のバレンティンで2011年から2019年に在籍。2013年にはプロ野球記録となるシーズン60本塁打をマークしている。続いて2001年に入団した
ラミレスで7年。2003年には40本塁打、124打点で2冠、2007年には122打点でタイトルを獲得し
巨人に移籍した。その2007年には
ガイエルが入団。打率は低かったが1年目は35本塁打をマーク。5年間で90本塁打を放った。
2005年入団のリグス、2012年入団の
ミレッジが4年間の在籍だったが、リグスは2年目に39本塁打、ミレッジはアベレージヒッターで初戦度は打率3割をマークした。昨年のように
村上宗隆、
山田哲人と日本人で軸になる選手が多く、新外国人だった
オスナ、
サンタナがプレッシャーなくプレーできているところもチームに好影響を与えていると言える。外国人の平均年数は2.75。
阪神タイガース
阪神は18人でヤクルトに次ぐ少なさ。マートンは入団1年目の2010年にシーズン214安打の新記録(当時)を樹立。6年間で4度3割をマークした。4年在籍は2009年のシーズン途中に入団したブラゼルと今年4年目となるマルテ。ブラゼルは2010年に47本塁打、117打点をマーク。本塁打は巨人・ラミレスに2本差、打点はラミレスに12点差のリーグ2位の成績だった。マルテは3年目の昨季、自己最多の22本塁打、71打点を挙げ今季につなげている。2005年に優勝したときは、
広島から移籍したシーツが活躍した。シーツはアベレージヒッターで、1年目は打率.289、85打点、2年目は打率.310、75打点と安定した成績を残している。外国人の平均年数は2.17。
読売ジャイアンツ
助っ人も移籍選手が多い巨人。5年在籍の李もロッテから加入した
巨人はセ・リーグでは最も多い35人だが、19人が1年限りの選手となかなかチームにフィットする外国人野手がいない。最多は5年の
イ・スンヨプ、続くのが4年のラミレスだが、イ・スンヨプはロッテ、ラミレスはヤクルトからの国内移籍組で、2014年に入団した
アンダーソンの3年が「自前」の最多年数。今年は
ウィーラーが3年目となるが、こちらも楽天からの移籍。1年目の2013年は打率.303、2年目には22本塁打を放ったロペスを解雇。ロペスは
DeNAが獲得し、その後6年間活躍した。一方、2017年に
中日で35本塁打を放ちタイトルを獲得した
ゲレーロを獲得したものの、1年目15本塁打、2年目が21本塁打に終わっている。外国人の平均年数は1.66。
広島東洋カープ
規定打席に到達したのは1年のみだったが、エルドレッドは7年間、広島のユニフォームを着た
広島はリーグ2番目の26人で1年限りも16人と多い。最大の成功は7年間在籍したエルドレッド。2012年は2年目のバーデンと新外国人のニックが不調で6月に来日。2年目はケガもあり66試合、13本塁打に終わり、普通だったらここで戦力外と言われてもおかしくないが、3年目の2014年も契約。その年37本塁打をマークして本塁打王に輝いた。7年間で規定打席に到達したのはこの年だけだったが、2016年の日本シリーズでは3試合連続本塁打、2017年はシーズン27本塁打を放っている。
広島はドミニカ共和国にカープアカデミーを擁しているが、2015年秋に来日したのが
メヒア。2017年の7月に支配下選手登録され、その年は9試合に出場。最多出場は2019年の56試合だったが、5年間一軍で出場していた。また一緒に来日した
バティスタも2017年の6月に支配下選手登録をされ活躍。2018年は25本塁打、翌年は8月中旬まで26本塁打を放っていたが、ドーピング陽性通知を受けリタイア。そのまま退団した。外国人の平均年数は1.73。
中日ドラゴンズ
中日は今季7年目のビシエドを筆頭に、4年間在籍したのが2003年からのアレックス、2005年からの
タイロン・ウッズ、2009年からのブランコの3人、3年も5人。3年以上が9人と最も多い。ビシエドは2018年に打率.348で首位打者を獲得。アレックスも中距離ヒッターだったが、タイロン・ウッズとブランコは大砲だった。タイロン・ウッズは横浜で2年連続本塁打王を獲得して中日に移籍。1年目から38本塁打と本領を発揮し2年目の2006年には自己最多の47本塁打で3度目の本塁打王と、144打点で初の打点王も獲得しリーグ優勝に大きく貢献。翌年、翌々年も35本塁打とスラッガーの威力を見せた。
しかしオフに契約でもめて退団し代わりに新外国人のブランコを獲得。するといきなり39本塁打、110打点で2冠を獲得。翌年も32本塁打を放ったものの、2011年は他の外国人と競わせるというチーム方針が裏目に出て16本塁打。翌年もケガの影響もあり24本塁打に終わると退団した。その後、2017年にゲレーロが入団し、35本塁打でタイトルを獲得し、チームにとっても久々の大砲だったが、翌年は巨人に移籍。その後チームは「本塁打不足」に陥っている。外国人の平均年数は2.32。
横浜DeNAベイスターズ
巨人から移籍してきたロペスは6年間で3度の30本塁打超え
DeNAはなぜか、中日との絡みが多い。タイロン・ウッズは日本での最初の入団は横浜。集計外の2003〜2004年に2年連続本塁打王を獲得したが、ブランコは逆に中日から2013年に入団。このときは投手のソーサと
ソトも中日からDeNAに移籍している。ブランコは入団した2013年は41本塁打をマークしている。最も長いのは2015年に巨人から移籍したロペス。6年間で2016年の34本塁打を筆頭に3度の30本超え。2017年には打点を獲得している。
2018年に入団したソトは41、43本塁打で2年連続本塁打王。2019年には108打点で打点王も獲得している。2020年から2年間は新型コロナの影響もあり来日が遅れるなど成績を落としたが、5年目の今年も期待される。また2020年入団の
オースティンは昨年28本塁打をマーク。規定打席にわずかに足りなかったが打率.303も記録。今季2人の助っ人が大爆発すれば躍進も期待できる。外国人の平均年数は1.8
文=永山智浩 写真=BBM