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プロ野球回顧録

高橋由伸、谷佳知、大村直之…通算2000安打に届かなかった「意外な打者」たち

 

 名球会の入会資格の通算2000安打に到達することは超一流選手の証と言えるだろう。打撃技術だけでなく、故障で長期離脱せずに試合に出続ける体の強さが求められる。スタメンで試合に出続けることも条件になる。「天才打者」と呼ばれる選手たちでも、通算2000安打の壁は高い。高橋由伸谷佳知大村直之は惜しくも達成できなかった。全盛期を知っている野球ファンは意外に感じるのではないだろうか。

長嶋監督も認めた「天才打者」


1年目から打率3割をマークするなど打撃センスは抜群だった高橋


・高橋由伸(巨人)
通算成績1819試合出場、打率.291、321本塁打、986打点、29盗塁

 誰もが認める「天才打者」だった。右足を高々と上げる打法だが、タイミングを崩されずに広角に安打をはじき返す。桐蔭学園高、慶大で強打者として名を上げて、逆指名で巨人にドラフト1位で入団。当時の長嶋茂雄監督が称した「21世紀のスター」の看板に偽りはなかった。新人の1998年に打率.300、19本塁打、75打点をマーク。三番に定着し、四番・松井秀喜、五番・清原和博と強力なクリーンアップを形成した。翌99年は打率.315、34本塁打、98打点。優勝争いしていたシーズン終盤に守備で鎖骨骨折により離脱したが、同僚の松井、ヤクルトロベルト・ペタジーニと熾烈な本塁打王争いを演じた。

 プロ7年目の2004年に通算1000安打に到達。史上8位のハイペースだったが、外野の守備で全力プレーによる故障での離脱が増え、05年以降規定打席に到達したのは1度のみ。07年に一番打者で打率.308、35本塁打、88打点をマークしたが、腰痛や故障で出場機会が減り、代打の切り札に。現役最終年の15年は打率.278、5本塁打、21打点と打撃技術に衰えは見られなかったが、原辰徳監督が同年限りで退任する意向を示し、球団から監督就任要請を打診されたため受諾。現役引退を決断。プロ18年間で通算1753安打を積み重ねた。

球界屈指の右打ちの技術


オリックス[写真]、巨人で巧みな打撃を披露した谷


・谷佳知(オリックス、巨人)
通算成績1888試合出場、打率.297、133本塁打、741打点、167盗塁

 尽誠学園高、大商大を経て社会人野球・三菱自動車岡崎では1996年のアトランタ五輪で銀メダル獲得に貢献した。バットコントロールの巧みさに定評があり、「右打ちの技術は球界屈指」と評された。攻守走3拍子そろったプレースタイルで、オリックスに入団後は1年目から外野のレギュラーに。2001年は打率.325、13本塁打、79打点をマーク。日本記録の52二塁打を樹立した。02年は41盗塁でタイトルを獲得。03年は打率.350、21本塁打、92打点でリーグ最多の189安打を放つ。

 派手さはなかったが、実直な性格で選手たちの人望が厚かった。06年オフに金銭トレードで巨人に移籍すると、07年に打率.318、10本塁打、53打点で5年ぶりのリーグ優勝に貢献する。13年限りで退団すると、古巣のオリックスに復帰。14年の開幕戦にスタメン出場するなど幸先良いスタートだったが、その後は打撃不振で4月下旬にファーム降格。自己ワーストの9試合出場で2安打に終わり、翌15年も11試合出場で5安打と振るわずに現役引退。通算1928安打と大台にあと一歩届かなかった。

パンチ力もあるリードオフマン


近鉄[写真]、ソフトバンク、オリックスと3球団でプレーした大村


・大村直之(近鉄、ソフトバンク、オリックス)
通算成績1789試合出場、打率.284、78本塁打、568打点、203盗塁

 育英高からドラフト3位で近鉄に入団すると、2年目の1995年に一番打者に定着し、110試合出場で打率.270、3本塁打、19打点、15盗塁。98年に打率.310、23盗塁で162安打を積み重ねると、01年から7年連続140安打以上をマークする。俊足を生かして内野安打が多いが、01、03年には16本塁打を放つなどパンチ力もあり、相手バッテリーから見れば厄介な選手だった。

 04年オフにソフトバンクにFA移籍以降もリードオフマンとして活躍。村松有人との交換トレードでオリックスに移籍すると、09年に119試合出場で打率.291、122安打をマークし、この時点で通算1865安打。2000安打達成は時間の問題かと思われたが、翌10年は岡田彰布監督が就任し、2試合出場で無安打に終わり戦力構想から外れて退団。兵庫県内で自主トレーニングを続けて他球団からのオファーを待ったが、獲得に乗り出す球団は現れなかったため現役続行を断念。名球会入りはならなかった。

写真=BBM
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