打線の中心で上位浮上のために固定されることが望まれる四番打者。長打力、勝負強さが求められ、チームNo.1のスラッガーが座る打順だ。果たして、今季の四番構想は? セ・リーグ6球団の「四番打者」を探る。 阪神タイガース
春季キャンプから
矢野燿大監督は、
大山悠輔と佐藤輝明を四番として競わせてきた。そのキャンプ中の実戦では2人とも打撃好調で、同じような成績を残してオープン戦に突入。甲子園で行われた3月4日の
楽天戦では、佐藤輝明が四番で先発した。この日は初回にバットを折りながらも先制の右前打を放つと、7回にはライトフェンス直撃の二塁打をマークするなど4打数2安打。一方の「五番・三塁」でスタメン出場した大山は4打数無安打で2三振を喫した。だが、オープン戦も始まったばかりで、最終決定はもう少し先になりそうだ。
東京ヤクルトスワローズ
2020年から2年連続で全試合四番出場中の村上宗隆。まさに不動の四番である。今年は新型コロナウイルス感染の影響で春季キャンプは二軍スタートも、2月19日に一軍合流。22日の楽天との練習試合では、初実戦でいきなり本塁打を放った。昨季は初の本塁打王に輝き、MVPも受賞。史上最年少100本塁打の偉業も達成した。史上最年少150本塁打まではあと46本。今季中の達成が条件となる。球団史上初の2年連続日本一へ。ヤクルト史上最強の四番がチームを勝利に導く一発を量産する。
読売ジャイアンツ
ポジションだけではなく打順も不動なのはチームで唯一、「四番・三塁」を任される岡本和真だけだ。打順においてはキャプテン・
坂本勇人の置き所さえ
原辰徳監督の采配ひとつだが、オーダーに頭を悩ませるときであっても「四番」からの逆算が常に成り立っている。キャンプでは若手野手陣を引っ張りながらも自己流の調整を続けていたが、オープン戦が本格化すると爆発。3月2、3日の
西武戦では東京ドームのバックスクリーンに二発をたたき込むと、さらには左翼テラス席に特大の一発と2試合で特大弾を三発。昨季の打撃2冠からさらなる進化を予感させる。不動の四番の存在感はさらに大きなものになるはずだ。
広島東洋カープ
鈴木誠也が抜けたことで、新四番探しはチームにとって大きなテーマとなっている。有力候補だった新外国人の
マクブルームが新型コロナの影響で来日未定の中、実戦に入ってから3月4日現在まで重要ポジションを託されているのが、ドラフト6位ルーキーの末包昇大だ。即戦力として期待される右打ちのスラッガーは、豪快なスイングでキャンプ初日からアピールを続けてきた。実戦に入ってからはなかなか思うようなバッティングができず苦戦している感も否めないが、2月26日の巨人とのオープン戦(那覇)では、本来の姿を見せる特大の2ラン。末包自身、四番に対しては「こだわりもありますし、狙えるのであればしっかりと狙っていきたい」と決意を口にしているだけに、有無を言わさぬパワフルな打撃でガッチリとキープしてほしい。
中日ドラゴンズ
今年もビシエドが開幕四番に座ることになりそうだ。2016年の来日1年目から、これで7年連続となる。竜の不動の四番。昨秋は
立浪和義監督から直々に打撃指導を受けた。17本塁打に70打点はチームトップの数字だが、四番としてはやや物足りず、立浪監督も「もっと打てる。打ってもらわないと困る」と発破をかけた。四番を自分の居場所として独占し続けてきたビシエドだが、高卒3年目の
石川昂弥がグングンと力をつけて迫ってきている。やがて石川昂が四番に座ることになる可能性は非常に高く、それはもしかして今シーズン途中からかもしれない。2人の四番争いが楽しみだ。
横浜DeNAベイスターズ
昨年から引き続き、タイラー・オースティンが四番を務めることになりそうだ。1年前の今ごろは来日が遅れており、チームに合流したのは4月に入ってから。その反省を生かして今季はキャンプインから充実した時間を過ごした。規定打席に届かなかったものの、昨季は打率.303、28本塁打、74打点と頼もしい存在だった。来日3年目を迎え、オフには
細川成也をアメリカでの自主トレに誘うなど、よりチームに溶け込んでいるようだ。オープン戦では
牧秀悟が四番に入り、オースティンが三番に入る打順も試している。打線のつながり次第では、この2人は入れ替わりがあるかもしれない。
写真=BBM