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プロ野球回顧録

野茂英雄、村田兆治、渡辺俊介…あなたが最も衝撃を受けた「投球フォーム」は?

 

 プロ野球の歴史に名を刻んだ投手の中には、独特のフォームで活躍した投手が少なくない。常人には理解しがたい体の使い方だが、パフォーマンスを最大限に発揮する方法を考えてたどりついたフォームなのだろう。特に衝撃的だった投球フォームとして語り継がれるのがこの3投手ではないだろうか。野茂英雄村田兆治渡辺俊介……あなたが最も印象に残った投球フォームはどの投手だろうか。

メジャーで伝説を築いたトルネード


大きく体をひねる「トルネード投法」で相手をねじ伏せた野茂


・野茂英雄(近鉄、ドジャース、メッツ、ブリュワーズ、タイガース、レッドソックス、デビルレイズ、ロイヤルズ)
※NPB通算成績139試合登板、78勝46敗1セーブ、防御率3.15
※MLB通算成績323試合登板、123勝109敗、防御率4.24

 打者に背番号が見えるほど体を大きくひねり、豪快に投げ込む「トルネード投法」。日本球界だけでなく、メジャーでも社会現象になるほど大人気だった。社会人野球・新日鉄堺のときに、ソウル五輪での銀メダル獲得に大きく貢献。「アマチュアNo.1投手」はドラフトで史上最多の8球団が競合し、当時近鉄の仰木彬監督が見事に当たりクジを引き当てた。新人の1990年に18勝8敗、防御率2.91で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振のタイトルを獲得。同年から4年連続最多勝、最多奪三振と球界を代表する右腕として活躍する。94年オフに近鉄を退団するとメジャーに挑戦。日本人投手が活躍した前例がなかったため不安視する声が少なくなかったが、ドジャース1年目から3年連続を含む計7度の2ケタ勝利をマーク。直球とフォークで三振の山を築くスタイルで伝説を作った。

唯一無二の「マサカリ投法」


「マサカリ投法」から投げ込む剛速球とフォークで勝負した村田


・村田兆治(ロッテ)
※NPB通算成績604試合登板、215勝177敗33セーブ、防御率3.24

 現役時代を知らない野球ファンは、村田の投球映像を見て驚くことは間違いないだろう。左足を地面と水平に高く蹴り上げ、右腕を勢いよく振り下ろす独特の投球フォーム。鉞を打ち下ろす動作に似ていたことから「マサカリ投法」と名付けられた。プロ4年目にこの投球フォームを完成させると、剛速球と落差の鋭いフォークで三振の山を築いた。1976年に21勝をマークし、81年には19勝で最多勝のタイトルを獲得。ほかにも最優秀防御率3回、最多奪三振4回、最多セーブ1回を受賞している。通算暴投数148は日本記録だが、村田が捕手とサインを交わさず自身で配球を組み立てていたため、落差のすごいフォークに捕手が対応しきれなかったのも原因だった。現役引退後も引き締まった体は変わらず、66歳の2016年3月30日のロッテ―楽天戦(QVCマリン)で始球式を行った際はマサカリ投法で131キロのストライクを投げ込み、球場をどよめかせた。

世界一低い投球フォーム


低い腕の位置から投げるアンダースローで打者と勝負した渡辺


・渡辺俊介(ロッテ、米国独立リーグ・ランカスター、新日鐵住金かずさマジック)
通算成績255試合登板、87勝82敗1ホールド、防御率3.65

 地上スレスレから投げる投球フォームは「世界一低い投球フォーム」と称された。リリースポイントが低いために球を投じる指がマウンドの土をこすることが。ほかの投手よりも体を低くして投球するため右足が地面にこすれて出血してしまうこともあった。大学までは無名の存在だったが、新日鐵君津で当時の應武篤良監督、久保涼平投手コーチの指導を受けたことで、制球力が見違えるように改善してプロ入りの道を切り開いた。直球の平均球速は120キロだが「ジャイロボール」と呼ばれる渦巻き状の回転で、初速と終速の差がほとんどないために打者はタイミングが合わない。90キロ台のカーブ、浮き上がるような軌道の100キロ台のスライダーで凡打の山を築く投球はまさに芸術だった。2004年に12勝、05年に15勝を挙げ、国際大会でも強さを発揮。06、09年とWBC日本代表で連覇に貢献した。

写真=BBM
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