2001年4月2日から02年4月1日生まれの「2001年世代」。高卒入団であれば20年にプロ野球のユニフォームを着て、今年が3年目のシーズンとなる。すでに一軍戦力となっている選手、今季に飛躍を懸ける選手と、立場はそれぞれだ。果たして、パ・リーグ6球団の「2001年世代」の現在地は？

千葉ロッテマリーンズ

「2001年世代」の中でも注目を浴び続けてきた“令和の怪物”こと佐々木朗希が、高卒3年目に向けてエンジン全開だ。オープン戦から160キロ台を連発し、自己最速タイの163キロをマーク。練習試合を含めた実戦登板は2→3→5と投球回を増やして順調に調整を続けている。開幕先発ローテーションは当確で、スピード以上に勝利数にも期待大。一軍デビューを果たした昨季は11試合に登板して3勝に終わるも、内容を見れば投げるたびに安定感が増していった。エースになり得る右腕の成長は楽しみだ。同じく昨季に一軍デビューを果たした横山陸人も「2001年世代」。サイドハンドながら150キロ超を投じる投球で、次代の抑え候補でもある。「2001年世代」2人による継投が実現する日も遠くはないかもしれない。

オリックス・バファローズ

　昨季、「2001年世代」で最初に2ケタ勝利を挙げたのが宮城大弥だ。13勝を挙げて新人王に輝き、日本シリーズも経験。3年目は先発ローテーションの軸、左腕エースとして、さらなる飛躍が期待される。野手では昨季、2ケタ10本塁打を放つなどブレークした紅林弘太郎も「2001年世代」。強肩を生かした遊撃守備も試合をこなすごとに安定感が増し、レギュラーを実力でつかんだ。打撃も確実性が増しており、今季も活躍が期待されるが、右肩の違和感でオープン戦を欠場と心配も。ただ、焦る必要がないのは長くチームを支える存在だからこそ。ほかにも右腕の前佑囲斗、育成選手では外野手・平野大和ら5人。支配下３人と合わせて同世代が8人在籍と、将来のチームを担う面々が腕を磨いていく。

福岡ソフトバンクホークス

　昨季ウエスタン・リーグで48試合に出場した勝連大稀をはじめ、そのほとんどが育成選手という中、「2001年世代」唯一の支配下選手が小林珠維だ。東海大札幌高時代は最速150キロをマークする投手としても活躍していたが、プロ入り後は高校通算30本塁打の打棒を評価されて内野手で勝負。肩の強さを生かした守備は定評があり、1年目は三軍を主戦場としウエスタン出場は2試合にとどまっていたが、2年目の昨季はウエスタンで58試合と出場試合数を大きく伸ばした。着実に力をつけてきており、今後の大化けが楽しみだ。

北海道日本ハムファイターズ

　吉田輝星、野村佑希、万波中正、水野達稀、田宮裕涼ら、次世代を担う若手がズラリと並ぶ「2000年世代」に対して、「2001年世代」は上野響平ただ一人と寂しい。2019年ドラフトは社会人3人、大卒3人と、7人中、高卒ルーキーの指名は上野だけだった。遊撃、二塁をこなす守備のうまさはチーム屈指で、高校時代には「令和の牛若丸」と呼ばれたほど。2年目の昨季は一軍出場を果たしたが、課題は打撃。今季は国頭村の「BOSS組」でキャンプを過ごし、手締めのあいさつも務めた。緊張のあまり30秒沈黙する場面もあったが、「この中から1人でも一軍の舞台で活躍できるように頑張っていきましょう」と大役をこなした。華麗な守備で“守り勝つ新庄野球”の秘密兵器となる。

東北楽天ゴールデンイーグルス

　3年目の春季キャンプも、昨年と同様に一軍で腕を磨いた。浅村栄斗、鈴木大地、茂木栄五郎らレギュラー候補が二軍調整する中、二塁、三塁の守備練習で泥まみれになってアピールした黒川史陽。「レギュラーを先輩から奪う立場なので、負けないように」と意識は高い。昨季は一軍で34試合に出場。「調子がいいとき、悪いときの波が少ないのがレギュラー」と身をもって感じた。「やってくれると、使いたいと思わせられるようなプレーをしたい」と意気込んでいる。同期入団の外野手・武藤敦貴とともに、レギュラー陣に風穴を開けるべく挑戦を続ける。

埼玉西武ライオンズ

　高卒3年目の井上広輝、川野涼多が「2001年世代」だ。1年目は体づくりに励んだ井上は2年目の昨季、開幕一軍入りを果たした。デビュー戦でいきなり柳田悠岐(ソフトバンク)に一発を浴びるなど4試合の登板で防御率10.38。思うような結果を残せなかったが、貴重な経験を積んだ。オフからスライダー、シンカーといった変化球の精度向上に重点を置き、なおかつストレートの質もレベルアップさせた。さらに、己を磨いて一軍戦力となりたいところだ。まずはリリーフとして結果を残し、将来的には先発として飛躍を果たしたい。両打ちの遊撃手として期待の大きい川野だが昨季は打撃で試行錯誤を重ねた。走攻守すべてでひと回り大きくなり、一軍昇格を狙いたい。

写真＝BBM