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栗林良吏、平良海馬、村上宗隆…過去の新人王、受賞年のオープン戦はどうだった?

 

昨季、オープン戦から好投を見せて新人王を獲得した広島・栗林


 昨季のセ・リーグ新人王は、1年目ながら37セーブを記録した栗林良吏(広島)が選ばれた。栗林はキャンプ、オープン戦と好投したことでクローザーに抜てきされたが、やはり新人王を受賞するような選手はオープン戦で結果を残しているのだろうか。今回は、過去5年の新人王受賞選手が、そのオープン戦でどのような活躍を見せたのかを振り返ってみた。

新人王はオープン戦でも結果を残している


●2021年 栗林良吏(広島)、宮城大弥(オリックス)

 昨季のセ・リーグ新人王になった栗林は、春季キャンプで好投を見せたことでオープン戦でも4試合と積極的に起用された。結果は打者15人に対し被安打2本、無失点と抜群の安定感を見せた。また、3月21日の本拠地でのソフトバンク戦では、二死満塁の場面も巧みに切り抜け、さらに首脳陣の評価を高めた。この活躍により、開幕前にもかかわらず正守護神に抜てきされた。

 パ・リーグでは高卒2年目の宮城大弥が新人王に選ばれた。1年目は二軍で最多勝を獲得。一軍でも3試合に起用され、高卒1年目とは思えないピッチングで1勝1敗、防御率3.94を記録した。新人王有力候補として期待された2021年オープン戦は、3試合で2勝負けなし。圧巻だったのは3月20日の阪神戦で、6回を投げて11奪三振を記録。初の開幕先発ローテーション入りを決定づけた。

●2020年 森下暢仁(広島)、平良海馬(西武)

 2020年のセ・リーグ新人王は広島の森下暢仁が選ばれた。キャンプでは一軍に参加し、どのようなピッチングを見せるのか期待されたオープン戦では4試合に起用。15回を投げて16三振を奪うも、13安打を浴びて防御率は4.20と、抜群の結果を残したわけではなかった。その後の練習試合でも乱れる場面はあったが、開幕するとしっかりと修正。堂々とした投球で新人王に輝いた。

 西武の平良海馬は高卒3年目で新人王を受賞。2019年シーズンは7月に初の一軍登板を果たし、後半戦は中継ぎの一角として活躍。26試合2勝1敗1セーブ6ホールドの成績を残した。新人王の権利を残したまま迎えた2020年。順調に調整を続け、オープン戦では3試合に登板して被安打2本の無失点と抜群の安定感を見せた。1年を通して圧巻のシーズンだったといえる(翌2021年はさらにすごかったが……)。

●2019年 村上宗隆(ヤクルト)、高橋礼(ソフトバンク)

 2019年は当時高卒2年目だった村上宗隆が新人王を獲得。前年に二軍で17本塁打を放ち、一軍でも本塁打を記録していたこともあり、2020年は三塁手のレギュラー候補として期待を集めた。その期待どおりに、村上はオープン戦14試合に出場し、チーム最多の4本塁打、12打点をマーク。球団記録を更新する19歳の若さで開幕スタメンの座をつかみ取った。公式戦では10代選手では最多となる36本塁打をマークした。

 パ・リーグではソフトバンクの高橋礼が新人王に選ばれた。2018年に1年目ながら日本シリーズで先発起用されるなど、チームの期待が高かった高橋だが、この年のオープン戦では3試合13回を投げて7失点。防御率は4.85と数字の面では結果を残すことはできなかった。それでもチームは期待を込めて開幕先発ローテーションで起用。その期待に応えるように好投を続け、23試合12勝6敗で新人王を獲得した。

オープン戦で無失点ピッチングのDeNA・東は公式戦でも11勝をマーク


●2018年 東克樹(DeNA)、田中和基(楽天)

 2018年はDeNAの東克樹がセ・リーグ新人王に選ばれた。ドラ1入団ということもあり、春季キャンプでは一軍に入り、ブルペンでは迫力のある投球を披露。オープン戦では3試合に起用され、8回1/3を投げて4安打無失点と完璧なピッチングを見せた。オープン戦での活躍もあり、開幕先発ローテーション入りすると、公式戦では新人唯一の規定投球回に到達。チームトップの11勝、防御率はリーグ2位と見事な成績を残した。

 パ・リーグ新人王は楽天の2年目、田中和基が受賞した。前年は一軍で主に代走で起用され、チームトップの7盗塁をマーク。さらなる飛躍が期待された2018年は、オープン戦16試合に起用され、規定打席には届かなかったが打率.333と好成績を残した。公式戦では一時不調で二軍落ちするも、打率.265、生え抜き最多(当時)となる18本塁打を記録し、チーム初の野手新人王に輝いた。

●2017年 京田陽太(中日)、源田壮亮(西武)

 2017年のセ・リーグ新人王は中日の京田陽太。前年ドラフトで2位指名を受けて入団した京田は、キャンプでは一軍に参加。堂上直倫と遊撃手のポジションを争う存在になるのではと注目を集めた。オープン戦では19試合に出場したが、50打数13安打、打率.260と実は際立った数字は残していなかった。しかし、開幕すると打撃好調で、5月、6月と月間打率3割超えを記録。持ち前の守備、走力だけでなく攻撃面でもチームに貢献した。

 パ・リーグも京田と同じプロ1年目の遊撃手、源田壮亮が新人王に選ばれた。当時エラーが多かった西武は、高い守備力を持つ源田を高く評価していた。しかし、オープン戦では30打数9安打打率.300と、守備面だけでなく高い打撃技術も披露。バントなどつなぐプレーだけが持ち味でないことをアピールした。その結果、見事に開幕一軍をつかみとり、正遊撃手の座も獲得。西武の弱点だった守備面改善に大きく貢献することとなった。

 過去5シーズンの新人王とその年のオープン戦を振り返ってみた。森下や高橋といった思うような投球ができなかったケースもあるが、ほとんどはオープン戦で結果を残し、開幕につなげている。新人王を狙うには、オープン戦での結果も必要不可欠なのかもしれない。果たして今季のオープン戦は、目立った活躍を見せる新人は現れるのか注目したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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