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奥川恭伸、宮城大弥、杉本裕太郎…「実質2年目のジンクス」を破れるか?

 

 昨年のセ・パ両リーグは下馬評を覆し、前年最下位だったヤクルトオリックスがリーグ優勝を飾った。その中で予想を超える大活躍でチームに大きなプラスアルファをもたらした選手がヤクルトの奥川恭伸、オリックスの宮城大弥杉本裕太郎だ。今年は相手のマークも厳しくなり、昨年のような成績を残すのは簡単ではない。「実質2年目のジンクス」を破れるか。

エースとしての活躍が求められる3年目右腕


3年目の今季、奥川が昨季以上の成績を残すか注目が集まる


・奥川恭伸(ヤクルト)
※昨季成績18試合登板、9勝4敗、防御率3.26
※通算成績19試合登板、9勝5敗、防御率3.62

 星稜高で2年春のセンバツから4季連続で甲子園出場を果たし、3年夏に準優勝投手に。佐々木朗希と共に「高校No.1右腕」と評され、ドラフト1位で巨人阪神と競合し、就任まもないヤクルト・高津臣吾新監督が当たりクジを引き当てた。プロ1年目の2020年はシーズン最終戦となった11月10日の広島戦(神宮)でプロ初登板初先発も、3回途中9安打5失点KOでプロ初黒星。ほろ苦い登板となったが、試合後の最終戦セレモニーで高津監督が「来年に向かって非常に若手で有望な選手が今日先発しました。奥川!」と呼び寄せた。サプライズ指名の奥川は「今日の試合の反省をしっかりと生かして、来年以降はしっかり活躍できるように頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします」と誓っていた。

 昨年は有言実行を見事に果たした。直球の球威が増してスライダー、フォークも精度が上がったことでチームトップタイの9勝をマーク。7月以降は安定した投球で、9月は月間成績3勝0敗、防御率0.45と抜群の安定感だった。巨人とのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージの初戦では先発に抜擢され、98球でプロ初完投初完封をマーク。CSで20歳6カ月の完封勝利は史上最年少の快挙だった。今年はエースとしての活躍が求められる。

投手タイトルも狙える新人王左腕


昨季は勝利を飾れなかったが、日本シリーズでも先発した


・宮城大弥(オリックス)
※昨季成績23試合登板、13勝4敗、防御率2.51
※通算成績26試合登板、14勝5敗、防御率2.65

 ロッテ・佐々木朗希と同世代のドラ1左腕は高卒2年目の昨年に大ブレークを飾った。その活躍は決してフロックではない。高卒1年目の6勝2敗、防御率2.72でウエスタン・リーグ最多勝を獲得し、一軍でも11月6日の日本ハム戦(札幌ドーム)でプロ初勝利を飾るなど3試合登板で1勝1敗。スライダー、チェンジアップ、カーブの質が高く、緩急自在の投球で制球力も抜群に良い。2年目は開幕から先発ローテーションに入ると、白星を重ねた。8月終了時点で11勝1敗、防御率1.99と驚異の安定感で、エース・山本由伸と左右のエースで投手陣を牽引した。

 疲労の色が見えたシーズン終盤は打ち込まれる試合が何度か見られたが、新人王を受賞。宮城の存在がなければチームは頂点に立てなかっただろう。今年の週刊ベースボールの新春恒例! 絵馬企画では、「2021年は日本シリーズまで行くことができましたが、負けてしまったので、22年は日本一になれるように頑張りたいです。僕は後半戦に失速してしまったので、オフから体力づくりなどをしっかりして21年よりも濃い1年にしたい。リーグ優勝だけに満足することなく、その次もしっかり勝って、やり切ったという1年にしたいと思います」と誓った。今年は投手タイトルも十分に狙える。

30歳ながら成長曲線を描く主砲


昨季、長距離砲として開花した杉本は今季も四番として期待される


・杉本裕太郎(オリックス)
※昨季成績134試合出場、打率.301、32本塁打、83打点、3盗塁
※通算成績210試合出場、打率.278、41本塁打、117打点、5盗塁

 決して若手ではない。西武山川穂高、パイレーツ・筒香嘉智と同学年の30歳の長距離砲が覚醒した。2020年までは一軍に定着できずチーム屈指の飛距離を生かせなかったが、中嶋聡監督が就任したことで野球人生が大きく変わった。昨季前半戦に18本塁打と量産して6月下旬から不動の四番に。7月は11試合出場で打率.146と快音が止まったが、中嶋監督は四番から外さなかった。

 東京五輪の中断期間を経ると、後半戦は調子を取り戻して打ち続けた。本塁打の後に北斗の拳・ラオウの最期のように右拳を突き上げる「昇天ポーズ」のパフォーマンスは、ファンもマネしてすっかり定着。粗さが課題とされていたが、試合を重ねることで対応力が高まり、追い込まれても軽打で安打を放つなどハイアベレージを維持し、25年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。ドラフト10位で入団しているが、史上最も低い指名順位からの本塁打王で、前年2本塁打以下の選手が本塁打王を獲得するのは史上初。打率3割、30本塁打を達成したのは日本人打者で1989年の門田博光氏以来、球団史上32年ぶりと歴史を次々に塗り替えた。まだ実績を残して1年だが、成長曲線にいる中で今年は三冠王も決して夢ではない。

写真=BBM
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