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プロ野球回顧録

清水隆行、二岡智宏、仁志敏久…野球ファンから「根強い人気」誇った巨人の実力者たち

 

 1990年代から2000年代の巨人はスター選手たちの存在が際立っていた。松井秀喜清原和博高橋由伸と強打者たちが注目されたが、脇を固める選手たちも「主役」と同じぐらいの輝きを放っていた。清水隆行二岡智宏仁志敏久……巨人ファンだけでなく、野球ファンから人気を集めた実力者たちのパフォーマンスは強烈だった。

代名詞は「弾丸ライナー」


右中間、左中間に力強い打球を飛ばした清水


・清水隆行(巨人、西武)
※通算成績1485試合出場、打率.289、131本塁打、488打点、90盗塁

 決して華やかなキャラクターではない。だが、野武士が刀を斬るような鋭いスイングから繰り出される代名詞の「弾丸ライナー」が大きな魅力だった。東洋大からドラフト3位で入団すると、1年目の1996年に打率.293、11本塁打で外野のレギュラーに定着。リーグ優勝に貢献する。97年以降も規定打席到達で打率3割を6度マークするなど巧打者として、チームに不可欠な存在になった。2002年に191安打で最多安打のタイトルを獲得すると、04年はリーグトップの39二塁打をマークした。

 結果を残し続けていた清水だが、毎年のように大型補強する巨人でレギュラーを確約されていたわけではない。04年に打率.308をマークしたにもかかわらず、新外国人のゲーブ・キャプラーの加入で翌05年はベンチスタートに。それでもレギュラーを奪い返し、打率.300、15本塁打をマークした。低めにめっぽう強く、内角の窮屈な球にも体をうまく回転させて強い打球を振り抜く。松井、高橋に比べて目立たないが、その卓越した打撃技術はまぎれもなく「天才打者」だった。

唯一無二の「ミスター右中間」


ショートを守りながら強打を備えた好選手だった二岡


・二岡智宏(巨人、日本ハム)
※通算成績1457試合出場、打率.282、173本塁打、622打点、48盗塁

 肩が強く、逆方向の右翼に美しい軌道の本塁打を放つ。スケールの大きいプレーは他球団の選手にも一目置かれた。広陵高、近大を経て1999年ドラフト2位(逆指名)で巨人に入団すると、1年目に川相昌弘から遊撃の定位置を奪い、打率.289、18本塁打をマーク。2年目の2000年には9月24日の中日戦(東京ドーム)でリーグ優勝を決めるサヨナラアーチを放った。02年の西武との日本シリーズではシリーズ史上初の3戦連続猛打賞、第3戦で満塁本塁打を放つなど4試合で通算19打数9安打、打率.474、5打点の大活躍で日本シリーズMVPに。03年は全140試合出場で打率.300、自己最多の29本塁打とキャリアハイの成績を残した。

 逆方向の右に引っ張るような打ち方でスタンドに打球を運ぶ。唯一無二の打撃技術で「ミスター右中間」と形容された。31歳のシーズンまでに通算1099安打を積み重ねたが、その後は度重なる故障に見舞われたのが残念だった。ただその輝きは色褪せない。全盛期の活躍は同じ遊撃手を守る後輩の坂本勇人にも見劣りしない。華のある遊撃手だった。

卓越した二塁守備が魅力


絶品の二塁守備で何度もチームに勝利を呼び込んだ仁志


・仁志敏久(巨人、横浜、米国独立リーグ・ランカスター)
NPB通算成績 1587試合出場、打率.268、154本塁打、541打点、135盗塁

 卓越した洞察力と野球理論は「チームの頭脳」だった。常総学院高、早大、日本生命とアマチュアでエリート街道を歩み、1996年ドラフト2位(逆指名)で巨人に入団。1年目に打率.270、7本塁打、24打点、17盗塁で球団の野手では原辰徳以来15年ぶりの新人王を受賞する。2004年に自己最多の28本塁打を放つなどシーズン20本塁打を3度マーク。パンチ力と俊足を兼ね備えたリードオフマンだった。

 仁志の魅力は打撃だけではない。二塁の絶妙なポジショニングで安打性の打球を何度もアウトに。ダイエーと激突した00年の日本シリーズでは2連敗して迎えた3戦目で、同点に追いつかれた2回に村松有人の一、二遊間に飛んだ打球をさばくと、本塁に送球して柴原洋を走塁死に。勝ち越しを防いだこのプレーで流れを引き戻し、4連勝で逆転日本一に大きく貢献した。02年に西武と対戦した日本シリーズ初戦でも初回二死一、二塁のピンチで和田一浩の中堅に抜けようかという当たりを、あらかじめ二塁ベース付近に構えていた好守で二ゴロに。このプレーが勝負の分岐点となりシリーズ4連勝を飾った。味方でこれほど頼もしい選手はいなかった。

写真=BBM
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