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「2年目のジンクス」で成績低下…そこから「3年目」に巻き返した新人王はいるのか?

 

阪神・高山は新人王を獲得した翌年、成績が落ちたが3年目は……


 プロ1年目に活躍した選手が、次の年に突如として不調に陥ることがある。いわゆる「2年目のジンクス」と呼ばれるものだ。新人王を獲得するような選手でも、大きく成績を落とすことは少なくない。では、そこから見事に巻き返し、再び輝きを取り戻した例はあるのだろうか?

2年目のジンクスから巻き返したのは2005年の久保のみ


2年目は1年目より成績が低下したが、3年目に巻き返したロッテ・久保


 現在のチーム体制となった2005年以降の新人王の中から、新人王獲得の翌年に成績を落とした選手をチョイス。不振に陥った次の年に巻き返すことができたのかを調べてみた。

●2005年 久保康友(ロッテ)

1年目:19試合10勝3敗 防御率3.40
2年目:23試合7勝13敗 防御率4.55
3年目:21試合9勝8敗 防御率4.00

 2005年のパ・リーグ新人王はロッテの久保康友が獲得。19試合で10勝3敗と新人では傑出した数字を残しての選出だった。しかし、翌年は不安定なピッチングが続き、8月にはまさかの6連敗。結局13敗と大きく負け越して終わってしまう。巻き返しを図る2007年は、骨折で戦線を離脱することはあったが9勝を挙げて勝ち越し。前年と比べると「やや巻き返した」といえるのではないだろうか。

●2006年 八木智哉(日本ハム)

1年目:26試合12勝8敗 防御率2.48
2年目:15試合4勝6敗 防御率4.54
3年目:2試合1勝1敗 防御率6.75

 2006年に1年目ながら12勝と好投し、見事パ・リーグ新人王になった八木。しかし、翌年は左肩の不調も相まって調子が上がらず、わずか4勝と「2年目のジンクス」のとおりの結果に終わってしまう。さらに翌2008年は再び左肩の不調で登板機会が激減。一軍では2試合しか投げられなかった。3年目に巻き返すことはできなかった八木だが、プロ4年目の2009年に9勝と復活。1年遅れでの巻き返しを見せた。

●2007年 上園啓史(阪神)

1年目:17試合8勝5敗 防御率2.42
2年目:9試合4勝0敗 防御率3.14
3年目:1試合0勝0敗 防御率4.76

 2007年セ・リーグ新人王は、8勝をマークした阪神の上園啓史が選出された。翌シーズンも活躍が期待されたが、開幕前から制球を乱す場面が多く、調整のために登板した二軍戦でも厳しい結果に終わるなど散々なシーズンだった。巻き返しを図った2009年も、調子は一考に上向かず、一軍登板はわずか1試合。3年目の巻き返しとはいかなかった。

●2008年 小松聖(オリックス)

1年目:36試合15勝3敗 防御率2.51
2年目:17試合1勝9敗 防御率7.09
3年目:29試合5勝8敗 防御率4.77

 2008年は、プロ入り2年目の小松聖が新人王を獲得。15勝3敗と圧倒的な成績での戴冠だった。しかし、翌2009年は2年目にジンクスにはまり、序盤から打ち込まれる展開が続いた。その後も二軍に落とされるなど不調から抜け出せず、結局1勝9敗と苦しい結果に終わってしまう。2010年はリリーフで好投を見せるが、チーム事情から先発に復帰。しかし、先発では思うようなピッチングができなかったのか、5勝8敗と負け越し、巻き返すことはできなかった。

3年目も苦しんだ2016年、2018年の新人王


●2016年 高山俊(阪神)

1年目:134試合 494打数136安打 8本塁打 5盗塁 打率.275
2年目:103試合 328打数82安打 6本塁打 6盗塁 打率.250
3年目:45試合 128打数22安打 1本塁打 0盗塁 打率.172

 2016年のセ・リーグは、阪神の高山俊が新人王に選出された。ルーキーながら開幕スタメンを勝ち取り、そのまま打線に定着。一時不振に陥ることもあったが、134試合に出場して規定打席に到達し、打率.275、猛打賞13回と好成績を収めた。しかし、翌2017年はシーズン半ばから不調で二軍落ちも経験。前年を下回る結果に終わってしまう。巻き返しを図る3年目はさらに成績は悪化。とにかく打てない場面が増え、わずか45試合の出場にとどまった。

●2016年 高梨裕稔(日本ハム)

1年目:37試合10勝2敗1ホールド 防御率2.38
2年目:22試合7勝7敗 防御率3.68
3年目:18試合5勝7敗 防御率4.50

 2016年は日本ハムの高梨裕稔がパ・リーグ新人王を獲得した。この年はシーズン前半にリリーフだけで2勝と好投。先発に配置転換したあとも輝きは衰えず、最終的に10勝を挙げてシーズンを終えた。さらなる飛躍が期待された2017年は、シーズン終盤に4連勝するも7勝7敗と前年より成績は低下。3年目はシーズン後半に不振に陥り、5勝7敗と負け越してしまった。この年のオフにトレードでヤクルトに移籍している。

●2018年 東克樹(DeNA)

1年目:24試合11勝5敗 防御率2.45
2年目:7試合4勝2敗 防御率3.76
3年目:登板なし

 2018年セ・リーグ新人王はDeNAの東克樹。新人では唯一規定投球回に到達し、11勝5敗でリーグ2位となる防御率2.45をマークと、文句なしの新人王だった。しかし、翌2019年は左ヒジの炎症で一軍登板機会が得られず、復帰後も再び左ヒジの不調から満足に投げることができなかった。巻き返しが期待された3年目は、キャンプ中に左ヒジの靱帯損傷が発覚。トミー・ジョン手術を受けたため登板することはなかった。長いリハビリ期間を経て2021年に復帰。今季の開幕投手に指名されている。

●2018年 田中和基(楽天)

1年目:105試合 423打数112安打 18本塁打 21盗塁 打率.265
2年目:59試合 160打数30安打 1本塁打 3盗塁 打率.188
3年目:80試合 254打数61安打 8本塁打 6盗塁 打率.240

 2018年のパ・リーグはプロ2年目の楽天・田中和基が新人王を獲得した。序盤は打撃不振で戦列を離れることもあったが、徐々に打撃成績が改善。球団生え抜きでは最多となる18本塁打(当時)をマークするなど走攻守で目立つ活躍を見せた。しかし、2019年は足首の捻挫や骨折などトラブルが続き、59試合の出場でシーズンを終える。2020年は80試合と前年より出場数を増やすも、新人王を獲得した年のようなプレーはできなかった。

 2005年以降の新人王で、「2年目のジンクス」から巻き返しを見せたのは、2005年の久保康友ぐらいで、ほかは厳しい3年目となっている。3年目は無理でも、八木や高梨など、4年目、5年目に大きく巻き返す例もある。しかし、一度落ちた成績を急激に上げるのは難しいようで、そのまま低迷し続ける例が少なくない。

 果たして昨季の新人王となった栗林良吏(広島)と宮城大弥(オリックス)は2年目のジンクスを跳ね返せるのか。もし今季成績が落ちた場合、来季巻き返せるのか。新人王2人の今後に注目だ。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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