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巨人・松原聖弥は開幕一軍を果たせるか…「野球センスは天才的」の声が

 

亀井の背番号「9」を継承して


一番定着へ壁にぶち当たっている松原


 プロ野球開幕まで10日を切った中、戻るべきポジションに向けて汗を流している選手がいる。巨人松原聖弥だ。

 期待が大きいからこそ、首脳陣も歯がゆいだろう。リードオフマンとして期待されたが、春季キャンプの実戦から本来の輝きが見られなかった。3月2日の西武戦(東京ドーム)で「一番・中堅」でスタメン出場して4打数無安打に倒れ、その後の試合では一番を任されることがなく下位に。オープン戦10試合出場で26打数4安打、打率.154と結果を残せず、今月13日に二軍に合流した。同日の春季教育リーグ・西武戦(ジャイアンツ)で適時二塁打を放ったが、結果を出し続けて信頼を取り戻すしかない。

 他球団のスコアラーは、松原についてこう分析する。

「野球センスは天才的な部分がある。体の使い方ですね。想像できない角度からバットを出して難しい球をヒットにしてしまう。好調のときはどこに投げても打たれる感覚がある。ツボにはまれば一発もあるし、対策が難しい選手です」

 昨年は大きく飛躍する年になった。135試合出場で打率.274、12本塁打、37打点はいずれも自己最高の数字。レギュラーも一軍も保証されていた立場ではない。主力の丸佳浩梶谷隆幸が戦線離脱した際に抜擢されてチャンスをつかみ、首脳陣の信頼を高めた。毎年のように即戦力の選手が加入し、ポジション争いが激しい巨人で出場機会を確保するのは至難の業だ。育成出身選手で球団初の規定打席に到達したことは大きな価値がある。

 松原は今年から背番号「9」を背負う。昨季限りで現役引退した巨人・亀井善行外野守備兼走塁コーチから継承した。松原は3月に週刊ベースボールのインタビューで背番号9について、「もちろん全然、想像もしていなかったです。ただ『9番かっこいいな』というのはずっと思っていました。僕が1年目のキャンプで、亀さん(亀井)が最初は二軍スタートだったんです。亀さんのことを見る機会が多くて、亀さんの背中がすごくかっこよかったんです」と思いを口にした上で、「背番号で野球をやるわけではないので、気にしないようにはしているんですけど……でも気になるので。どう(プレッシャーを)乗り越えていこう……気にしないです、気にしないようにします」と自分に言い聞かせていた。

「まだまだ伸びしろだらけ」


 亀井コーチは昨年10月23日のヤクルト戦(東京ドーム)後に行われた引退セレモニーでスピーチした際、「聖弥、あんたは天才だから。もうちょっとだけ頭使っていけよ」と名指しでゲキを飛ばしている。その野球センスは先輩も一目置く。一方で、課題は状況判断を磨くことだった。

「松原は難しい球をヒットにする反面、ボール球に手を出してしまう場面も目立った。外野の守備でも落下点に入る速さは申し分ないですが、無理しなくていい打球にも突っ込んでピンチを広げることがありました。持っている能力の高さを考えれば、この成績では満足できない。まだまだ伸びしろだらけの選手だと思います」(スポーツ紙記者)

 松原も自身の課題を受け止めている。「練習では自分の中で苦しい打ち方をするようにしています。フリー打撃で自由に振り回せば見映えはいいし、打っている本人も気持ちがいい。実際、昨年や一昨年というのはそういう感じで自分もやっていましたが、試合の中でそのように打てることなんてほとんどない。だから練習ではあえて苦しい打ち方で逆方向に、ということを意識しています」とインタビューで語っている。

 開幕前に壁にぶち当たったが、これまでの野球人生で幾度も乗り越えてきた。成長への糧に、「不動の一番」を目指す。

写真=BBM
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