オープン戦も終盤戦を迎えているが各球団、楽しみな若手が続々と出てきている。その勢いはシーズンでも続いていくか。今季、一軍でしっかりとチームの勝利に貢献することが望める若手は誰か。セ・リーグ6球団の大ブレークするのはこの選手だ! ※記録は3月18日現在 読売ジャイアンツ
大ブレークが期待されるのはもちろん、苦しい台所事情もあって「やってくれなければ困る」とも言える。トミー・ジョン手術からのリハビリ過程でルーキーイヤーは棒に振った山崎伊織だが、キャンプから完全復活をアピールし、開幕先発ローテーション候補としてオープン戦でも好投を続けている。
戸郷翔征、
高橋優貴が出遅れた上に、
山口俊も背信投球で信頼が揺らぎ、開幕投手の
菅野智之以下の先発陣はいまだに流動的な状況。手術明けで球数やイニング数に制限はつくが、それでも実質デビューとなる大卒2年目右腕にかかる期待は大きい。
阪神タイガース
春季キャンプでの実戦で好投。オープン戦でもしっかり結果を残して開幕3戦目の先発が濃厚になっているのが、ドラフト3位の桐敷拓馬だ。ドラフト指名後のリーグ戦では19奪三振で完全試合も達成。真っすぐに力があり、変化球も鋭く曲がり、マウンド度胸も満点だ。3月13日の教育リーグ・
中日戦(鳴尾浜)では5回を投げ12安打7失点と炎上。だが「前回は本当にひどかった。次はストライク先行でいって、課題をつぶしていきたい」とすでに前を向いている。開幕先発ローテーションに入るだけのポテンシャルはあるだけに、あとは開幕までしっかり調整し、シーズンで大ブレークを果たすつもりだ。
東京ヤクルトスワローズ
右の大砲候補・濱田太貴が大暴れの予感だ。昨季は開幕直前に上半身のコンディション不良で戦列を離れ、一軍未出場だった。そして迎えた4年目の今季は二軍キャンプでの調整を終え、3月8日の
楽天とのオープン戦(静岡)より一軍に合流。翌日の同カードでは、
早川隆久、
松井裕樹の両左腕からヒットを放った。昇格当初は右の代打としての役割を期待されていたが、その後もスタメン出場でコンスタントに安打を積み重ねている。
塩見泰隆、
山崎晃大朗が戦列を離れているなか、持ち味のフルスイングで一気にブレークの可能性もある。
広島東洋カープ
ルーキーコンビが中継ぎで魅せる。ドラフト1位左腕・黒原拓未と同5位右腕・松本竜也は、ともに開幕一軍を“内定”させた。大卒・社会人出とあってドラフト指名当初から即戦力として期待されていたが、その期待に応えるように春季キャンプ初日からしっかりアピール。黒原が力強い真っすぐで打者をねじ伏せれば、松本は緩急をうまく使って打者に的を絞らせない。
佐々岡真司監督は、まずは開幕までにどこのポジションを任せるか、最終判断していく模様。勝ちパターンに入ってフル回転すれば、新人王も不可能ではない。チームは2020年・
森下暢仁、21年・
栗林良吏と2年連続新人王を輩出中。先輩たちに続けるか。
中日ドラゴンズ
オープン戦の成績は物足りない。どの数字も合格点は与えられず、普通の若手選手なら二軍に降格してもおかしくないほどだ。それでも
立浪和義監督が1打席でも多くと打席に立たせ、ゴールデン・グラブ賞を2度受賞している
高橋周平を二塁に回して三塁を守らせているのは、この選手の持っている可能性を信じているからだ。高卒3年目の20歳、石川昂弥。将来は
ビシエドに代わって四番に座ることが確実視されている和製大砲。チームの将来を考え、立浪監督は開幕からスタメンで起用していく方針だが、その期待に石川昂がどれだけ応えられるか。大ブレークに期待ではなく、大ブレークしてもらわなければ困る選手だ。
横浜DeNAベイスターズ
高卒ルーキーだった1年目。プロ初打席でバックスクリーン直撃のアーチを放ち、日本シリーズの舞台まで経験したスラッガーも6年目のシーズンを迎える。今年で24歳となる細川成也。ベイスターズの将来を背負う中軸候補として期待されながら、なかなか結果が出せないでいた。そんな細川をアメリカでの自主トレに誘ったのが
タイラー・オースティンだった。オフには
ネフタリ・ソトを加えた3人で汗を流し、バットの出し方や上半身の使い方を修正。その成果はオープン戦で現れた。ここまで11試合に出場して打率.300、2本塁打。何よりコンタクト率が上がったことで安定感が増した。勝負の2022年シーズン、代打や外野のサブで終わる男ではない。
写真=BBM