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2022センバツ

【2022センバツ】見ごたえのある投手戦。木更津総合・越井颯一郎の“166球の完投”にあった3つの勝因

 

見ごたえのある投手戦


木更津総合のエース右腕・越井[3年]は気迫あふれる投球で、6年ぶりの初戦突破に貢献した


■第3日第1試合(3月21日)
木更津総合(千葉)2x−1山梨学院(山梨)
延長13回タイブレーク

 関東勢同士の対決は戦前の予想どおり、見ごたえのある投手戦になった。木更津総合高が延長13回タイブレークで山梨学院高に勝利。木更津総合高の右腕・越井颯一郎(3年)が相手エース右腕・榎谷礼央(3年)に投げ勝った。

 越井は166球の完投。勝因は3つあった。

 まずは、チームメートへの信頼感。1対1のまま延長に入り、12回を終え、13回からタイブレーク(無死一、二塁からの継続打順)。越井は13回表、先頭打者に内角高めへ投げる。相手打者はバントを試みるが、うまく転がすことができず、越井は素早いフィールディングで二塁走者の三進を許さない。後続を二ゴロ併殺で無失点に抑え、13回裏は一死満塁からの押し出し四球で、サヨナラ勝ちした。

「ウチのバッターは勝負強いので、必ず、打ってくれると信じていました」(越井)。打線は榎谷の力投の前に苦戦したが、最後は粘りを見せた。

 次にテンポの良さと、制球力である。140キロ超のストレートに90キロ台のカーブで緩急自在の投球を披露。球持ちが良く、ストレートは表示以上のキレがある。このほか変化球はチェンジアップ、スライダーをコーナーに集め、的を絞らせなった。木更津総合高・五島卓道監督は明かす。

「そんなに球は走っていなかったと思いますが、まとまりがあった。回を追うごとに、低めの変化球のコントロールが良くなった」

 捕手からボールを受けると、すぐにモーションに入り、素早くボールを投げ込む。打者に考える時間を与えさせないほど、リズムの良い投球は一貫としていた。

 最後に精神面の強さである。

 1球を投げるごとに「ヨイショ!!」と雄叫びを上げる。ボールに気迫が乗り移り、166球にも「体力的には、問題ありませんでした。先頭打者を抑えることを心がけました」とエースとしてのマウンドさばきを見せた。

 木更津総合高は昨夏、千葉県大会決勝で専大松戸高に惜敗した。6対6のままタイブレークに入った13回表、木更津総合高は無得点。その裏、満塁本塁打を浴び、サヨナラ負けを喫した。越井は2番手で救援し、当時、多くの2年生以下が悔しさを味わっていた。五島監督は「彼らが負けを勝ちにした。その成果が出た」と喜びを口にした。同校のセンバツでの勝利は左腕エース・早川隆久(早大-楽天)を擁して8強に進出した2016年以来である。心身とも充実した越井の2回戦以降の投球から見逃せない。

写真=石井愛子
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