オープン戦も終わり、いよいよ今週金曜からペナントレースが開幕する。頂点を目指して143試合、熱戦を繰り広げていくが、果たしてどの選手がカギとなるのか。セ・リーグ6球団の優勝への「最大のキーマン」を探っていく。 阪神タイガース
青柳晃洋の新型コロナ陽性のため、2年連続で開幕投手を務めることになった藤浪晋太郎。昨年も開幕投手となり完全復活を期待されたが3勝に終わった。そこでオフに
巨人の大エース・
菅野智之の自主トレに参加。さまざまなトレーニングを積み、今季に懸けている。オープン戦では3月12日の
中日戦(甲子園)で5回無失点。18日の
オリックス戦(京セラドーム)では5回2失点と安定した投球を見せた。この調子で開幕を迎え、1年間先発ローテーションで投げ続ければ、チームも安定した戦いができる。藤浪が7年ぶりの2ケタ勝利を挙げるようだと優勝も見えてくる。
読売ジャイアンツ
キャプテンの
坂本勇人や四番・
岡本和真、エースの菅野智之などは「やって当然」。いまさらキーマンと呼ぶべき存在ではないだろう。となれば中田翔だ。戦力として昨年からの純粋な「上積み」という意味で計算が立つからだ。昨季はシーズン途中の電撃加入後も34試合で打率.154と不振を極め、満足に戦力になることができず。だが今季はオープン戦で打撃好調、本来の姿を取り戻している。もちろん新助っ人のG.
ポランコやA.
ウォーカーにも期待はかかるものの、未知数であることは事実。3度の打点王を誇る背番号10が打った分だけ、昨季リーグ4位に終わった得点力がアップすることになる。
東京ヤクルトスワローズ
昨年の日本一は切れ目のない打線が得点を積み重ね、豊富な投手陣がそのリードを守り抜くというパターンができていたからこそだった。その投打の中で、ともに重要な役割を担っていたのが正捕手の中村悠平。2年連続の日本一は、この男がカギを握っている。今季も六番打者として、
サンタナ、
オスナの間を打つことで打線につながりを生み、捕手では巧みなリードで投手の力を最大限に引き出すことができれば、勝ち星は必然と増えていくだろう。しかし、中村は3月上旬に下半身のコンディション不良で戦列を離れ、開幕は絶望的。キーマン不在の中、チームがどれだけ持ちこたえることができるか。1日でも早く復帰することがチームの連覇の行方を左右する。
広島東洋カープ
主砲・
鈴木誠也に代わる四番が機能するかどうかは、優勝に向けての“重要事項”の1つと言える。飛距離抜群の長打力を買われ、実戦に入ってからオープン戦中盤まで四番に座ったのはドラフト6位ルーキーの
末包昇大。ただ、プロ、特に一軍レベルの投手のボールへの対応力が必要とあって、しばらくは四番から離れての起用が現実的だ。となったときに、頼れるのが松山竜平だ。春季キャンプから二軍調整を続けていたが、3月11日に一軍合流。早速同日の
日本ハムとのオープン戦(マツダ広島)で本塁打を放つなど、オープン戦終盤まで7試合でスタメン四番を務めた。勝負強さにパンチ力、実績も十分なだけに、現時点では四番最有力だろう。調子次第では昨季鈴木誠也と首位打者を争った
坂倉将吾に任せる可能性もあるほか、昨季3Aで32ホーマーの新助っ人・
マクブルームが前評判どおり打棒を見せてくれれば選択肢は広がる。彼らが四番を争うぐらい打ちまくって、打線全体を押し上げていきたい。
中日ドラゴンズ
今季もリーグ屈指の投手力を武器に投高打低の戦いが多くなることは間違いない。問題は、その投手陣をどれだけ打線が援護できるか。ロースコアの展開が続くようでは投手陣にも負担がかかる。打線のキーマンは誰なのか。答えは難しそうで簡単だ。誰が一番打ってもらわないと困るのか。打てなくなると一番得点が入らなくなるのか。それを考えれば、四番に座るビシエドであることは明確だ。ほかの選手の代役はいるが、ビシエドに代わってにらみをきかせられる四番はいない。
石川昂弥や
鵜飼航丞では早過ぎる。
高橋周平では役不足。球界最年長の
福留孝介に頼っていては先はない。ビシエドのバットなくして得点力アップ、そして優勝はないと断言できる。
横浜DeNAベイスターズ
クローザーが固まっていないことにはチームの貯金は増えていかない。オープン戦では候補として、
三嶋一輝、山崎康晃を競わせたが、2人はともに6試合6回を投げて防御率0.00と甲乙つけがたい内容だった。三嶋は新たに
シュートを習得し一貫して攻めの姿勢で圧倒する。山崎も体を絞り、ボールにキレが戻った。オープン戦の全日程が終わった
三浦大輔監督は「本人たちに聞いてみてもいいんじゃない。たぶん知らないと思うよ。これから決めるから」と報道陣の質問をかわした。9回のマウンドに立つのはどちらか。いずれにせよ、抑えが優勝へのキーマンであることは間違いない。
写真=BBM