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プロ野球はみだし録

「2カ月だけ待ってくれ」開幕から低迷もチーム上昇を予言したロッテ・バレンタイン監督【プロ野球はみだし録】

 

6月中旬までは最下位だったが


来日1年目のロッテ・ボビー・バレンタイン監督


 開幕戦に勝つ、さらには開幕カードで連勝することは、ペナントレースを有利に進めるために重要なことだろう。ナインの士気だけでなく、単純に多くの勝ち星を稼ぐだけで少しでも優勝に近づくわけだから、当然といえば当然なのかもしれない。これはシーズン序盤も同様。むしろ勝ち星を重ねる重要度は高まってくる。序盤の時点で下位に沈むと、これを閉幕までに覆すのは至難の業だ。

 とはいえ、そこから逆転して優勝したチームは少なくなく、優勝しないまでも上位に食い込む善戦を見せたチームになると、さらに数は増えてくる。ただ、そうしたチームの監督が躍進を的確に言い当てたケースは珍しい。1996年、巨人長嶋茂雄監督は“メークドラマ”の掛け声で逆転Vを成し遂げたが、確かに有言実行には違いないものの、言葉の力で盛り上げていった印象だ。一方、その前年、95年に就任したロッテのバレンタイン監督は、最終的には2位に終わったものの、的確にチームの浮上を予言している。

 95年のロッテは、ヤクルト西武で日本一に輝いた廣岡達朗がGMとバレンタイン監督という異例の二頭体制でスタート。バレンタイン監督はメジャーのレンジャーズを長く率いた経験もあり、低迷が続くロッテのチーム改革を象徴する存在でもあった。だが、それまでと変わらずロッテは序盤から低迷。見かねた廣岡GMが打開策を提案するも、バレンタイン監督は「2カ月だけ待ってくれ。6月には必ず上昇する」と言い切った。その言葉は現実となる。

 6月の中旬までは最下位に低迷していたロッテだったが、そこから打線が活発化。じわじわと順位を上げていく。この95年は“がんばろうKOBE”の合言葉でオリックスが6月には独走態勢に入っており、優勝こそ遠かったものの、2位に浮上していたロッテは本拠地での胴上げを目指すオリックスに3連勝と意地を見せた。ただ、バレンタイン監督は広岡GMと衝突して1年で退任。結果が出るのは10年後。復帰2年目にしてシーズン2位からプレーオフを制して、そのままロッテは31年ぶり日本一に輝いている。

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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