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平沢大河、田中正義、清宮幸太郎…正念場迎えた「ドラ1」たちの現在地

 

 紆余曲折を経たかつての「ドラ1」たちが正念場のシーズンを迎えている。アマチュア時代は「世代No.1」と称された選手たちも、プロは結果がすべての世界だ。将来を嘱望されてドラフト1位で指名されたが、目立った活躍ができずに野球人生の岐路に立たされている。平沢大河田中正義清宮幸太郎……彼らが輝く姿をプロ野球ファンは心待ちにしている。
※通算成績は開幕前時点

打撃で見せている成長


過去2年は一軍出場がなかったが、今季はその悔しさを晴らしたい


・平沢大河(ロッテ)
※昨季成績 一軍出場なし
※通算成績 236試合出場、打率.197、7本塁打、46打点、9盗塁

 2020、21年と一軍出場なしに終わった。プロ7年目に期する思いは強い。オープン戦で16試合に出場して打率.333をマーク。課題の打撃で広角に安打を積み重ね、出塁率.463とボール球を見極められるようになった。守備でも二塁、三塁、遊撃と複数のポジションを守れるのが大きな魅力だ。首脳陣の評価を高め、25日の開幕戦・楽天戦(楽天生命パーク)で「九番・三塁」での開幕スタメン。2打数0安打に終わったが、チームは4対0で勝利した。

 仙台育英で攻守走3拍子そろった「高校生No.1野手」と注目され、ロッテと楽天がドラフト1位で競合した平沢。背番号「13」は当時ヤンキースで活躍していたアレックス・ロドリゲスにちなむ。チームを背負って立つ遊撃手として期待されたが、打撃で確実性が上がらない。18年は出場機会を増やすために外野に挑戦。自己最多の112試合出場で打率.213、5本塁打をマークしたが、19年は度重なる故障で51試合出場と激減。20年も右ヒジ痛の影響で出遅れて一軍出場なし、昨年も熾烈な優勝争いを繰り広げる一軍から声がかからなかった。

 開幕スタメンはスタートに過ぎない。悔しさを晴らすべく、今年はグラウンドで大暴れしたい。

エースに引けを取らない潜在能力


オープン戦で先発として結果を残していた田中だったが……


・田中正義(ソフトバンク)
※昨季成績 18試合登板、0勝0敗1ホールド、防御率2.16
※通算成績 29試合登板、0勝1敗1ホールド、防御率4.94

 藤本博史監督が「先発の柱」として期待するのが田中だ。救援から先発に転向した今年は2月の紅白戦、練習試合で好投を続け、春季キャンプで投手陣のMVPに選ばれた。150キロを軽く超える直球は手元でホップするような軌道で、打者が差し込まれる。オープン戦でも結果を残して開幕3戦目の先発が有力視されたが3月20日、広島とのオープン戦(PayPayドーム)で、4回の投球前に右肩違和感で緊急降板。重症でないとのことだが、患部の様子が気がかりだ。

 身体のコンディションが万全なら自ずと結果はついてくる。創価大で最速156キロの直球を武器に三振奪取率が高い「大学No.1右腕」はドラフト1位指名で6球団が競合。希望球団だったソフトバンクの入団が叶うが、右肩、右ヒジの度重なる故障に苦しんだ。工藤公康前監督の期待も大きかった。光が差し込んだのが昨年だった。救援で自己最多の18試合に登板し、課題の制球力を改善したことで安定感がグッと増した。潜在能力の高さで言えば、エースの千賀滉大に引けを取らない。今年は先発で大輪の花を咲かせたい。

新庄監督が望む「スター候補」


5年目の今季、清宮は長距離砲として開花することができるか


・清宮幸太郎(日本ハム)
※昨季成績 一軍出場なし
※通算成績 230試合出場、打率.198、21本塁打、73打点、2盗塁

 早実で史上最多の高校通算111本塁打をマーク。ドラフト1位で高校生最多タイの7球団が競合し、「プロ野球を背負う逸材と呼ばれた長距離砲」が変革の時を迎えている。プロ4年目の昨年は初の一軍出場なし。故障がなかったにもかかわらず、一軍に昇格できなかった現実がチーム内での立ち位置を物語っていた。新庄剛志監督が就任した今年は減量を命じられ、103キロから94キロに絞った。オープン戦ではなかなか結果が出なかったが、開幕直前に敢行した異例の打撃フォーム改造で光が差し込んでいる。

 20日の打撃練習で新庄監督、稲葉篤紀GMから30分間に及ぶ打撃指導を受けると、途中出場したDeNA戦(札幌ドーム)戦で、7回無死一塁から左腕・砂田毅樹のスライダーを右翼線にはじき返す二塁打。両手首を動かしてバットのヘッドを大きく揺らす動作が消え、打席での構えもオープンスタンスからスクエアに変わった。11打席ぶりの安打にホッとした表情を浮かべたが、結果を出し続けなければいけない立場であることは変わらない。打撃で確実性を磨けばチャンスも増える。新庄監督が望む「スター選手」になれるか。

写真=BBM
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