週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

体重大幅増は正解? 巨人・中田翔に「スイングの鋭さが昨年と全然違う」と警戒の声が

 

3戦目の一発にお祭り騒ぎ


開幕3戦目の中日戦の初回、四番・岡本に続き、今季1号アーチを放った中田


 今年の巨人中田翔は一味違う。

 3月27日の開幕3戦目・中日戦(東京ドーム)。初回、好投手・柳裕也から四番の岡本和真が1号2ランを放った直後だった。中田が初球のカットボールを振り抜くと、打球は弾丸ライナーで左翼席へ一直線。岡本、中田の連続アーチに一塁ベンチはお祭り騒ぎだった。

 V逸した昨年、原辰徳監督が起用法に悩んだ打順が五番だった。主軸で期待されたジャスティン・スモークはコロナ禍で米国に住む家族に会うことが叶わないために6月中旬に電撃退団。スモークを含めた10選手が五番で起用されたが、なかなか固定できない。中田もその一人だった。昨年は日本ハムでチームメートへの暴力事件が発覚し、8月11日に一、二軍戦の試合無期限出場停止処分が下された。同月20日に巨人へのトレード移籍が発表されると即一軍で起用されたが、状態が最後まで上がらなかった。

オフに肉体改造に着手


 34試合出場で打率.154、3本塁打、7打点。レギュラーはおろか、一軍定着さえもままならない状況に最も悔しかったのは中田本人だろう。2年連続で本塁打、打点の2冠に輝いた四番・岡本のあとを打つ打者が相手投手に重圧を掛けられなければ、岡本が勝負を避けられてしまう。実際に岡本は10月の18試合でわずか1本塁打のみ。打撃の状態が下降線だったことが影響しているが、それだけではないだろう。五番を固定できないために「岡本は歩かせてもOK」と相手バッテリーが無理して勝負をしていなかったのは明らかだった。

 レギュラーどころか、一軍の座も保証されていない立ち位置になった中田は昨オフから肉体改造に着手した。下半身を中心にしたウエートトレーニングに打ち込み、20キロ増の体重112キロに。大幅な体重増で体のキレが失われることを懸念する声が上がったが、春季キャンプで鋭い打球を連発していた。オープン戦でも打率.325、3本塁打と結果を残し、3月25日の開幕戦・中日戦に「五番・一塁」でスタメン出場。3打数無安打に終わったが、翌26日の同戦で4回に今季初安打となる左翼線二塁打を放つと、3点差を追いかける8回無死一、二塁で左中間への適時二塁打を打ち、今季初打点をマーク。逆転勝利の口火をとなる貴重な一打になった。

踏み込んでもほどけない体の軸


 他球団の首脳陣は「昨年とはスイングの鋭さが明らかに違う。腰の状態が良くなかったことが打撃に影響していたが、今年は下半身の力がバットに伝わる打ち方をしている。左足を踏み込んでも体の軸がほどけないから、バットが止まって際どい球を見逃せる。まだ開幕して数試合ですが、日本ハムで良かったときの中田に戻っている感じがします」と警戒を強める。

 29日のヤクルト戦(神宮)でも長打は出なかったが、チームの勝利にきっちり貢献した。相手先発の奥川恭伸から2回に右前打を放つと、4回は8球粘った末に四球で出塁。6回一死満塁の好機の打席では遊ゴロが敵失を誘って勝ち越した。8回は三ゴロに倒れたが、強烈な打球できっちりとらえていた。

 今年は2年目右腕・山崎伊織、ドラフト3位右腕・赤星優志、高卒3年目の堀田賢慎と昨季まで一軍の先発陣にいなかった新顔たちが先発ローテーションに入っている。負担を軽くするためにも、打線は序盤から得点を取って援護していきたい。中田もポイントゲッターとしての活躍が求められる。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング