伝統の強打が爆発
大阪桐蔭高は4年ぶり4度目のセンバツ優勝。主将としてけん引した星子は喜びを口にした
■第11日(3月31日)決勝
大阪桐蔭(大阪)18−1近江(滋賀)
強かった。それ以上の言葉は、見つからない。
大阪桐蔭高が4年ぶり4度目のセンバツ優勝を遂げた。鳴門高との1回戦こそ左腕・
冨田遼弥(3年)の前に苦しめられた(3対1)が、
広島商高との2回戦の不戦勝以降は、伝統の強打が爆発した。
市和歌山高との準々決勝は大会タイのチーム6本塁打を放つなど18安打17得点。国学院久我山高との準決勝も毎回の19安打13得点。そして、近江高との決勝でも序盤から主導権を握り、16安打18得点。4本塁打が飛び出し、計11本塁打で大会記録(8)を更新した。
51得点に対して6失点。3年生右腕・
川原嗣貴と2年生左腕・
前田悠伍が交互に先発し、安定感ある投球を見せた。強打捕手・
松尾汐恩(3年)が好リードで支え、二塁手の主将・星子天真(3年)を中心に堅守がバックアップした。
つまり、攻守にわたり、まったくスキが見当たらないのである。そこにきて、甲子園通算61勝(歴代2位)の西谷浩一監督は4年ぶりのセンバツ制覇を喜びながらも、手綱を締めることを忘れない。
決勝前には「秋、春と大きな山を登ってきて、春の山を登り切りたい」と語り、春の登山をようやく終えた。いったん、下山し、夏の山を再び目指すことになる。
主将・星子天真は言った。
「明日(4月1日)から1年生も入ってくるので、3学年で頂点を目指していきたい。春夏連覇をこの代で目指せるのは自分たちだけ。3回目の春夏連覇を達成したいと思います」
大阪桐蔭高は2012、18年と甲子園で春夏連覇を遂げているが、過去の先輩が成し遂げていない偉業が残されている。
公式戦全勝だ。昨秋の新チーム結成以来、大阪大会、近畿大会、明治神宮大会、そして今春のセンバツと20連勝中である。
藤浪晋太郎がいた12年のチームは前年秋の近畿大会準々決勝(対天理高)、
中日・
根尾昂、
ロッテ・
藤原恭大らがいた18年のチームは前年秋の明治神宮大会準決勝(対創成館高)で敗退している。
「打倒・大阪桐蔭」
日本一を目指す全国高校球児の合言葉となる。迎え撃つ大阪桐蔭高に「受け身」という言葉は存在しない。常に攻め続け、一戦必勝を貫いていくのみである。
写真=牛島寿人