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西武ドラ2・佐藤隼輔に続けるか? 筑波大の有望左腕がリーグ戦で無失点デビュー

 

堂々と投げられた理由


筑波大の2年生左腕・長曽我部は東海大1回戦を3番手で救援。1回無失点で、堂々のリーグ戦デビューを飾っている


 筑波大の有望左腕が、首都大学リーグ戦デビューを飾った。長曽我部健太郎(北野高)は東海大1回戦で、1対2の7回から1イニングを無失点に抑えた(試合は東海大が5対2で勝利)。

「アウト一つずつ、腕を振っていこうと思っていました。展開としては、1点もやれない場面ですが、途中からは楽しめました。ゼロに抑えられたのは、良かったです」

 2022年春の開幕試合という大舞台でも、堂々と投げられたのには、理由がある。

 20年8月29、30日にプロ志望高校生合同練習会(甲子園)に参加。30日のシート打撃(打者5人のうち4人は走者なしのカウント1ボール1ストライクから。1人は無死一塁)では、打者5人をパーフェクト(2奪三振)に抑えた。大阪府立屈指の進学校のサウスポーが躍動する姿が、大きな話題となった。

 当時は「プロ志望」ではあったが、あくまでも二段構え。2年前、こう語っていた。「(ドラフトに)かかるかどうかは全然、分からないので。筑波大を目指すことをずっとやってきたので、入れるように勉強もしていきます。甲子園でもう一度、プレーしたい。プロ野球選手になりたい。そこが、揺らぐことはありません」。進路に際して、これまでも長曽我部は最善の選択をしてきた。2年前の甲子園では、こうビジョンを語っていた。

「もともとプロになるための進学ということで高校、大学も選んできました」。ドラフト指名はなく、勉強と学業、双方を極められる環境として、志望校であった筑波大に進学した。

 昨年1年間は、充実の時間を過ごした。3学年上の先輩左腕・佐藤隼輔(西武)の取り組みを、間近で見られたからである。

「(走者を出した際の)ランナーケア、投手としての間(ま)、考えながら投げるスタイルなど、学ぶべきことがたくさんありました」

1年間の鍛錬を経て成長


 1年間の鍛錬を経て、2年春の開幕を前にした実戦機会で結果を残し、25人のメンバー入り(背番号21)を遂げた。筑波大・川村卓監督は長曽我部に期待をかけている。

「体全体にバネがある。体と、このリーグ戦の雰囲気に慣れてくれば、(相手にとって)嫌なピッチャーになる。最初は短いイニングですが、長いイニングも任せていきたいです」

 最速136キロのストレートは手元で伸び、高めのコースでも空振りを取れる威力がある。変化球もスライダー、チェンジアップをコーナーへ集める。「今は中継ぎですが、チームからの信頼をつかみ、いずれは先発で投げたい思いはあります」と目を輝かせる。

 尊敬する先輩の佐藤も公立校(仙台高)から筑波大で4年間をかけ、着実に成長してきた。最高のモデルケースがおり、長曽我部も「大学で技術を磨き、上のレベルでやれる実力をつけたい」と前を向く。学習能力がある。アドバイスに対して1回吸収して、かみ砕いて、実際にどうするのか? 決して周りの意見には流されないという、芯の強さがある。

 残す大学生活3年間で、どこまで伸びるか。秀才左腕・長曽我部のあくなき挑戦は続く。

文=岡本朋祐 写真=中島奈津子
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