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千葉ロッテ次なる10年へ

ロッテ・河合克美オーナー代行兼球団社長インタビュー【後編】

 

千葉・幕張の地で歩んできた千葉ロッテマリーンズの30年。次なる未来へのトビラを開くのは、何もナインだけではない。球団職員も一体となって誇りある“チーム”を築き上げ、目指すは“常勝軍団”だ。千葉ロッテマリーンズが描く未来──。球団理念を掲げた球団の取り組みが、明日を切り開く。『千葉ロッテマリーンズ30年史』(3月31日発売)に掲載されたロッテ・河合克美オーナー代行兼球団社長のインタビューを前後編に分けてお届けする。

過去の延長に未来はない


ロッテ・河合克美オーナー代行兼球団社長


──そして、今年のチームスローガン「頂点を、つかむ。」につながるわけですね。

河合 昨年のスローガンは「この1点を、つかみ取る。」で、チームボイスは「その1点が、明日を変える。」でした。自分たちの未来を変えるための1点勝負だということを言ってきたんです。終わってみれば、シーズンの総得点数はリーグトップ。失点はリーグ5位でしたが、優勝したオリックスとは本当に僅差でした。もはや1点の差よりも小さく「あのワンプレーが……」選手1人ひとりが思うところまで優勝に近づいたんです。だから、今年のスローガンを決めるにあたっては、皆が悩みました。そして、複数候補を出して井口資仁監督に見せたんです。すると「今年は絶対に優勝をする。それを明快に示していきたいんです」と言い「だから『頂点を、つかむ。』にします。これでないと伝わらない。中途半端なことを言ってはダメです」と。絶対に優勝するというのを宣言して目指していく。それが今シーズンです。

──掲げた理念がファンへのメッセージとなり、そして選手を含めた球団が一体となって目標へ。言霊としていくわけですね。

河合 そういうところはありますよね。昨年、言ったことが1つひとつ証明されて、皆が自信になったと思いますし。今年は、頂点をつかむと言っているんですから、全員が引くに引けないわけです。昨年があったから、課題は皆が分かっている。でも、監督はまた違う考えでもあったんですよ。

熱き心を持ったナインが白熱の試合を展開すれば、自ずとファンの心も踊っていく


──違う考えですか。

河合 監督は昨年のクライマックスで負けたあと「この悔しさは忘れよう」と言ったんです。この悔しさを来年(22年)につなげるのでは? と私などは思ってしまったのですが……。でも、今年の正月、重光昭夫オーナーがグループの年頭あいさつで「過去の延長線上に未来はない」という話をされました。これは野球の話だったわけではありませんが、それを聞いたときにハッとしました。監督が言いたかったのは、こういうことかと分かったんです。要は、昨年と同じことをやっては結果も同じになるということ。当然、反省はしないといけいないし、悔しさもある。だからと言って同じ練習をしていてはダメなんです。過去の延長線上でなく、新たなことに挑戦をしない限り、レベルアップはできないんですよね。どの球団も優勝を狙う中で、どう勝っていくか。それは負けた悔しさではなく、勝つために挑戦していくという“覚悟”なんだと思ったんです。

──決して昨年の続きではなく、新たなスタートを切ることが大事だ、と。

河合 グラフで例えれば、曲線ではなく階段型というか、ステージを上げていくということなんです。絶えず優勝争いは、やっぱり過去の延長なんですよ。優勝争いをして2位でした、というのが3年間続いては常勝軍団ではない。最後に負けましたというのでは、自分たちが目指しているものではないんですよ。どこかでステージを上げていかないとけない。その上のステージを皆が見たいんです。

──2位の上のステージは優勝しかありません。

河合 そうです。優勝するってどういうことか、皆、知らないんです。そして皆、知りたいんです。それを知れるチャンスが、ここにあるんです。何とかつかみ取りたい。なので、私からファンの皆さんに伝えるべきことは1つだけ。頂点をつかむ。チーム一丸となって必ずそれを達成します、ということです。そのためにも、ぜひ、応援をよろしくお願いいたします。

取材・構成=鶴田成秀 写真=榎本郁也

<「完」>
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