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広島が開幕ダッシュ成功 中日に3連敗もV奪回のカギ握るのは2人の「天才打者」

 

一番で打線を牽引する西川


独特の打撃技術を誇る西川。一番としてチームに勢いを与える


 不動の四番・鈴木誠也がポスティングシステムでカブスに移籍した広島。攻守で戦力ダウンは否めず、戦前の下馬評が高いとは言えなかったが、蓋を開ければ開幕6連勝。6試合で計42得点と打線が活発だ。DeNA阪神相手に試合終盤にひっくり返す展開が続き、2016〜18年にリーグ3連覇を達成した黄金時代のような強さを感じさせる。中日には敵地・バンテリンドームで3連敗したが、先発の大瀬良大地森下暢仁は試合をきっちりつくっている。内容は決して悪くない。

 打線の中でキーマンになるのが、2人の「天才打者」だ。西川龍馬は同学年の鈴木が認めるほどの打撃センスを誇る。西川と共にプレーしたOBの新井貴浩氏も週刊ベースボールのコラムで、「龍馬は見た目こそ“イマドキのオシャレなお兄ちゃん”みたい感じですが、中身は物事についてしっかりとした考えを持っていて、そのギャップも魅力的な選手だと思います。練習に取り組む姿勢など、すごく真面目ですしね。コツコツ、コツコツと、こなしていっています」と野球に向き合う姿勢を高く評価。

「対戦相手からしたら、すごく厄介なバッターだと思います。だって、対策のしようがない部分もありますからね。低めのワンバウンドするようなボールを打ったかと思ったら、今度は顔ぐらいの高さのボールをホームランにしたりする。おまけに、インサイドの、ボール気味のところでも、すごい打ち方をしてセンターにもっていったり。キャッチャーの要求どおりに投じて『よし、OK!』と思ったら、そこをパカーン! と打ち返されるピッチャーの気持ちを考えると……。『どこに投げればいいの!?』ってなりますよね」と評価する。

 昨年は137試合出場で打率.286、12本塁打、60打点。決して悪い数字ではないが、西川の潜在能力を思えば物足りなく感じる。本人も納得していないだろう。7月まで打率2割5分台と試行錯誤が続き、苦しいシーズンだった。鈴木が抜けた今年は責任感がより一層強く増したように感じられる。佐々岡真司監督に託された打順は一番。開幕から安打を量産し、3月30日の阪神戦(マツダ広島)では1点差を追いかける9回一死満塁から右翼の頭上を越える逆転サヨナラ打を放った。

ポイントゲッター役を担う坂倉


ミート力と長打力を兼ね備える坂倉。五番は適任だ


 もう1人の「天才打者」は坂倉将吾だ。入団当初から非凡な打撃センスに定評があったが、プロ5年目の昨季は132試合出場で打率.315、12本塁打、68打点と大ブレーク。首位打者の鈴木に2厘差で及ばなかったが、打力を生かして本職の捕手だけでなく一塁も守った。ミート力と長打力を兼ね備えた打撃スタイルは元巨人阿部慎之助(現巨人一軍作戦兼ディフェンスチーフコーチ)を彷彿とさせる。

 今年は新たに三塁に挑戦。開幕から3試合連続マルチ安打を放つなど、五番打者でポイントゲッターになっている。OBの川口和久氏は週刊ベースボールのコラムで、「サードはホットコーナーと言われ、内野の中ではもっとも速い打球が来て体を張らなきゃいけないし、さらにもっとも遠くから一塁へ投げなければならない。ある意味、キャッチャーと同じだ。俊敏性を持ち投手の速球をさばき、ワンバウンドの処理もこなす。スローイングの練習も、もっともやっているポジションと言っていい。しかもサードとなれば、守備面はキャッチャーに比べれば負担が少ないので、より打撃に力を注げるはずだ。かつての村田修一(巨人ほか)がそうだったが、サードの選手は守備のリズムを打撃につなげるタイプが多い。坂倉にとっても、カープにとってもプラスが多いコンバートじゃないかな」と坂倉の可能性を引き出すポジションとして、三塁コンバートに賛同している。

 西川と坂倉が首位打者争いを繰り広げるような展開になれば、得点力も一気に上がる。2人の活躍が広島の命運を握りそうだ。

写真=BBM
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