チームの今季初勝利を完封で飾った阪神・西
ベテラン右腕の力投が阪神に今季初勝利を呼び込んだ。4月5日の
DeNA戦。セ・リーグワーストの開幕9連敗とどん底状態で迎えた甲子園での今季初試合で先発したのは
西勇輝だった。初回、
中野拓夢の適時打と
佐藤輝明の2ランで3点を先制。さらに2回にも相手の暴投で1点を追加し、序盤で4点の援護をもらった西は粘りのピッチングに相手に得点を許さない。7安打を浴びたが無四球で9回までスコアボードにゼロを刻んで投げ切った。2年ぶりの完封勝利に笑顔がはじけた。
「僕は遠征に行ってなかったので、連敗とかを気にせずに普通どおりマウンドに上がりました。途中からリズムが良くなって自分のテンポで投げられた。(完封は)ワンチャン、いけるかもと思っていましたね」
昨季はチームが優勝争いをするなか、なかなか自身に勝利がつかなかった。特に週頭の火曜日の先発を任されながら、勝ち切れない。ただ、悔しい思いもありながら、逆に「ありがたい」という気持ちでマウンドに上がっていたという。「一軍のマウンドで先発させてもらえる幸せを感じていました」――。
だからこそ、気合がみなぎる。キャンプ中の週刊ベースボールのインタビューではこのように語っていた。
「今季は延長12回制に戻りました。昨季以上に中継ぎの負担があるので、僕の腕の見せどころ。長いイニングを投げて少しでも中継ぎの負担を取り除いていきたいですね」
さらに、キャンプイン直前に今季限りでの退任を発表した
矢野燿大監督への思いも明かしていた。
「FAのときには矢野さんにお世話になりましたし、矢野さんの下で優勝を目指してきましたので何とか今年はその力になりたいという思いは強いです」
まだシーズンは始まったばかりだ。西が“逆襲の虎”の旗手となる。
写真=石井愛子