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キャッチャーミットの選び方は?「自分の手に合っているかどうかがすべて」/元中日・中尾孝義に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は捕手編。回答者は現役時代に強肩強打を誇り1982年の中日優勝時にはMVPに輝いた、元中日ほかの中尾孝義氏だ。

Q.中学生です。キャッチャーミットの選び方は、どのようにしたらいいのでしょうか。(愛媛県・匿名希望・13歳)


中日時代の中尾氏


A.実際に自分の手を入れてみることが一番でしょう

 難しいですね。ミットには大きさ、重さ、型などいろいろありますし、これはもう、自分の手に合っているかどうかがすべてだと思います。そのためには誰かのアドバイスより実際に自分で手を入れてみることでしょうね。それで感触を確かめてみてください。可能であれば、先輩だったり、ほかの選手が使っているミットを借りて捕球をし、話も聞きながら自分に合っているモデルを探すのもありだと思います。

 新品のミットは当然、硬いと思いますが、革は使っているうちに柔らかくなってきます。革の質はメーカーによって違いますし、最近は湯もみで最初から柔らかくしているところもありますが、最初は「硬いかな」と思うくらいのものを、捕りながら自分に合ったものにしていく感覚でいいでしょう。

 新しいミットで大事なのは型づくりですが、まず芯(自分の理想的な捕球ポイント)をどこにするのかがあります。それを真ん中の中指の付け根近くにする人もいますが、私は、そこではなく、ちょっと横の人さし指の付け根くらいが理想だと思います。そのほうが音も鳴りますし、スローイングの際の持ち替えも楽になります。

 捕球のイメージは、その芯にボールを入れ、小指と薬指で押さえる感じです。グラブ選択の話とは違ってきますが、この捕球感覚は柔らかいボールを軽く投げてもらい、ミット、あるいは素手で手のひらでもいいのですが、真っ正面に向けてつかむのではなく、やや斜めに受け、ポンと柔らかく下に落とすような練習をすると分かってくると思います。

 あとはポケットが浅いミット、深いミットがあります。深いほうがしっかり捕球できますが、少しつかみにくく、浅いほうはすぐつかめます。これも好みとは思いますが、私は肩が衰えてからは少しでも早くつかむため、浅いものを使っていました。

 現役時代は試合用を1つ、練習用のミットを1つつくり、1年ごとに替えていました。新しいミットはキャンプの時期から使い始め、オープン戦は前の年のモデルを使い、練習やブルペンでシーズン用のモデルを仕上げるようなサイクルですね。なかなかうまくいかないときはブルペン捕手の人に使ってもらったこともあります。

 日々のミットの手入れは、汚れを落とすのは当然ですが、油はつけ過ぎないようにしていました。つけ過ぎるとボールにまでくっ付いて、おかしな変化をすることがあったからです。 

●中尾孝義(なかお・たかよし)
1956年2月16日生まれ。兵庫出身。滝川高から専大、プリンスホテルを経て81年ドラフト1位で中日入団。89年に巨人、92年に西武に移籍し、93年現役引退。現役生活13年の通算成績は980試合出場、打率.263、109本塁打、335打点、45盗塁

『週刊ベースボール』2022年1月31日号(1月19日発売)より

写真=BBM
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