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日本人メジャーの軌跡

パの首位打者として鳴り物入りで入団の西岡。開幕直後のケガで大きな岐路に/日本人メジャーの軌跡

 

西岡剛は選手生活の絶頂期にメジャーへ移籍した。2010年に打率.346で首位打者、ロッテの日本一に貢献し、オフにポスティングシステムを申請。ツインズが530万ドル余で落札。当時26歳だった。ツインズにとっては球団初の日本人選手。契約は3年総額925万ドル。両打ちのオーランド・ハドソン二塁手がFAで退団したため、二遊間の補強が急務だった。

3年目の契約を自ら解除


ツインズ時代の西岡


 2010年のツインズは、盗塁数がア・リーグで2番目に少なかったことから、日本で盗塁王を2度獲得した機動力に期待が寄せられた。11年のスタートは順調だった。スプリングトレーニングでは打率.345。結果を残してレギュラーシーズンに臨んだ。開幕戦は4月1日、トロントでのブルージェイズ戦。二番・二塁で先発出場。左腕のリッキー・ロメロに対して2打席凡退した後、6回に左前打を放って4打数1安打だった。

 しかし6戦目に暗転する。4月7日のニューヨークでのヤンキース戦。7回に二塁の塁上でニック・スウィッシャーのスライディングで右脚の腓骨を折って離脱を余儀なくされた。4月8日の本拠地開幕戦では、試合前の選手紹介に松葉づえをついてグラウンドに登場。開場2年目のターゲット・フィールドを埋め尽くした4万人を超える地元ファンから温かい拍手を受けた。

 復帰は6月16日、本拠地のホワイトソックス戦。二塁には西岡と同じ年のアレクシー・カシーヤが定着しており、三番・遊撃で先発した。4打数1安打1失策で、その後も遊撃で出場したが、攻守ともにもうひとつ。結局1年目は68試合に出場して打率.226、0本塁打、19打点2盗塁。守備では二塁で2失策、遊撃で10失策と、不本意な成績に終わった。

 2年目の12年は開幕をマイナーで迎える。メジャーでは3試合に出場のみで12打数無安打、2失策。8月下旬にはメジャー40人枠を外された。最終的には自ら退団を申し入れ、3年目の契約を解除して自由契約になった。

 退団に際し「期待外れの成績に終わった責任は自分にあるため、違う道を歩む時が来たと判断しました。後悔はしていませんし、人は苦しんだ分だけ強くなれることを知っています。チームとファンから受けたすべての支援に感謝しています」とのコメントを発表した。

 帰国後は阪神と独立リーグのBCL/栃木でプレー。今年から独立リーグ・九州アジアリーグの新球団、福岡北九州フェニックスの監督兼選手を務め、選手生活はまだ続いている。

『週刊ベースボール』2022年3月21日号(3月9日発売)より

文=樋口浩一 写真=Getty Images
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