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首都大学リポート

「高高」から筑波大へ。主戦として奮闘する北爪魁「目標はリーグ優勝。それだけです」/首都大学リポート

 

1年冬に飛躍へのきっかけ


筑波大の右腕・北爪はチームのリーグ優勝のために、腕を振り続ける


【4月9日】1回戦
武蔵大3−0筑波大

 高崎高と言えば、過去に福田赳夫と中曽根康弘と2人の総理大臣を生み出すなど、群馬県屈指の進学校として知られる。地元では「高高(たかたか)」の愛称で親しまれている。同校から筑波大へ進み、エース格として奮闘しているのが北爪魁(3年)だ。

 高崎高では1年秋から背番号1を着け、3年夏は3回戦まで勝ち上がったものの、左腕・井上温人(巨人)を擁する前橋商高に敗れて甲子園出場はならなかった。

「やりきった感覚はあったのですが、『自分の能力ももっと伸びるかな』という思いもあったので、国公立の筑波大を受験することにしました」

 体育専門学群を受験したため、2次試験は実技の野球だったが、1次のセンター試験に向けて最長で1日8時間の猛勉強。努力の成果もあって、見事に合格を果たした。

 筑波大に入部した直後は「高校では甘い球でも打ち損じてくれていましたが、大学ではボールをとらえる力が上がっていますし、飛距離も伸びていました」とレベルの差に苦しんだ。悩める北爪だったが、1年冬のオフシーズンに飛躍へのきっかけをつかむ。

「それまで軸足のヒザが折れてしまっていたのでフォームを修正し、しっかりと体重を後ろに残してから投げるようにしました。すると、チェンジアップが急に良くなったんです」。本人も意図していなかった形で進化したチェンジアップと最速147キロのストレートのコンビネーションで好投を重ね、昨春からは投手陣の主力としてリーグ戦に登板した。

 今春は右腕・西舘洸希(盛岡三高)が脇腹を故障して出遅れていることと、筑波大・川村卓監督の「キレとコントロールが良いので5イニングくらいなら行ける」という判断の下、東海大との開幕カードに続き、武蔵大でも1回戦の先発を任された。

「このオフシーズンはストレートを強化するために、階段を使ったジャンプなど瞬発系のトレーニングをしてきました」

動画を見直してフォームの研究


 第2週の武蔵大1回戦では1回表に一死三塁、2回表は一死一、二塁のピンチを迎えるも、そのストレートで相手打者をフライに打ち取り5回まで無失点と好投した。しかし、6回表にヒットと2つの四球で一死満塁のピンチを招いたところで降板。2番手投手がタイムリーを許し敗戦投手となってしまった。

「まだまだ自分は通用していませんし、メンタル面できついなと感じることもあります」

 一方で、充実感もある。

「レベルが高い環境で野球をやれていることがやり甲斐になっていますし、楽しいんです」と筑波大で野球を続ける決断をしたことに後悔は微塵もない。「コロナ禍の影響で大学はオンラインなので、それほど負担はないです」ということだが、その講義では体のメカニズムや栄養学などを学び、空いた時間は自分が投げている動画を見直してフォームの研究をしているという。

 まだ3年生ということもあって、将来の進路は明確に決めていないが「目標はリーグ優勝。それだけです」と完全燃焼するその日までグラウンドの内外で研鑽を続け、マウンドに立ち続ける。

取材・文=大平明 写真=BBM
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