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吉田正尚の打撃の特徴は?「振り過ぎなくても飛距離が出る」/元ソフトバンク・柴原洋に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は打撃編。回答者は現役時代に巧打の選手として活躍した、元ソフトバンク柴原洋氏だ。

Q.昨年オリックスの吉田正尚選手が2年連続の首位打者に輝きました(.339)。2019年までは30本近い本塁打を打って、どちらかというと率も長打ものイメージでしたが、ここ2年はアベレージが非常に高いです。何か打撃に変化があったのでしょうか。吉田正選手の打撃の特徴、良い点を教えてください。(神奈川県・26歳)


今季は3年連続首位打者を目指す吉田正


A.もともとコンタクト率も高く、そこに磨きがかかっている

 昨年はペナントレース後半、終盤に大きなケガで離脱をしましたが、残した成績は素晴らしいですし、ケガをおしての日本シリーズでの奮闘に吉田正選手のチームタイトルへの熱い思いを感じました。日本代表として出場した東京2020五輪でのチーム最多安打の活躍も素晴らしかったですね。

 質問の方は直近2シーズンが.350、.339のハイアベレージを記録しているので、「長打からアベレージに切り替えたのか?」という趣旨でお便りをくれたのだと思いますが、私は打席でのスタンスに大きな変化はないのだと思います。「変化がない」と言うと、誤解を招きそうですが、プロ入り以降も技術面、肉体面で進化をし続けていて、入団のころの打撃スタイルがアップデートされ、アベレージも、長打も増えている、と言うほうがいいでしょうか。長打も打てて、アベレージも残せる理想的なバッターだということです。

 入団年(16年)こそ.290(それでも十分)だったとはいえ、2年目に.311(この2年は規定打席未到達)、3年目&4年目に.321&.322です。4年目(19年)が最多の29本塁打で、一昨年が14本、昨年が21本と減っていますが、故障で離脱していた期間も長いですからね。そもそも長打率は過去5シーズン、5割超をキープしていて、.563だった昨年がキャリアで最も高い数値です。

 もともと筋力のある選手でしたが、ハンマー投げの元選手でもある室伏広治さんに弟子入りして体幹を鍛えるなど、プロ加入からバランスよくビルドアップに成功しています。フルスイングが特徴の選手ではあるものの、振り過ぎなくても飛距離が出るようになったことは確かですし、その変化を吉田正選手自身も感じていると思います。また、もともとコンタクト率も高く、そこに磨きがかかっているので、それが近年のハイアベレージにつながっているのではないでしょうか。

 19年のプレミア12では外国人ピッチャーの動くボールに苦戦したと聞きます。そういった経験も、タイミングを早めにとったり、ボールへのコンタクトの意識を高めたりと言ったことにつながっているのでしょう。実際、20年は、.350のハイアベレージ。リーグを、日本を代表するような怖いバッターになってきましたね。これからの進化も楽しみです。

●柴原洋(しばはら・ひろし)
1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。

『週刊ベースボール』2022年2月7日号(1月26日発売)より

写真=BBM
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