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広島の四番・マクブルームは珍しい「左投右打」 他球団の「意外な評価」は

 

対応能力の高い打撃


日本球界に対応したバッティングを見せているマクブルーム


 広島が開幕14試合を終えて9勝4敗1分と好調だ。鈴木誠也がポスティング・システムでカブスに移籍し、「四番打者」が広島の最大の懸案事項だったが、新外国人のライアン・マクブルームが座ることで打線の軸が固まりつつある。

 メジャー通算6本塁打と目立った成績は残していないが、昨年は3A級オマハで115試合出場し、打率.261、32本塁打、88打点をマーク。広角に長打を打てるパワーヒッターという触れ込みだった。長打が自慢の助っ人は期待外れに終わるケースが少なくない。変化球主体で攻める日本野球の配球術に対応できずバットが空を切る。裏を返せば、異国で活躍する選手の共通点は選球眼が良い。外角に逃げる軌道のストライクからボール球になる変化球を見極め、落ちる球もきっちり対応する。他球団のスコアラーは「マクブルームは対応能力が高い」と分析する。

「打席で左足を上げる幅を変えたり、ノンステップで打ったり投手や状況に応じてタイミングの取り方を変えている。まだ日本人投手の特徴を把握しきれていない時期だが、戸惑っている様子がない。逆方向に長打を打てるということは、それだけ球を長くひきつけて打てるということ。個人的には長距離砲というより中距離砲のイメージですね。手強い打者になりそうです」

「つなぐ意識」の高さが打線に好影響


 3月29日の阪神戦(マツダ広島)。「六番・左翼」で来日デビューを飾ると、3月31日の中同戦に「四番・一塁」で先発出場し、2対2の6回二死二塁で秋山拓巳から左翼フェンス直撃の決勝適時二塁打を放った。初のお立ち台では「非常に良い雰囲気の本拠地でファンの皆さんの前で良い野球ができて本当にうれしいです」と目を輝かせ、決勝打について「明日、ウエートルームに行きます。ノーパワーだった」とファンの笑いを誘った。

 この試合前日以降、四番で固定されているが大振りすることなく、「つなぐ意識」が高いように見られる。五番にミート能力が高い坂倉将吾が控えているため、マクブルームが好機を広げれば、得点を取れる可能性が高くなる。4月5日の巨人戦(マツダ広島)で象徴的な打席があった。初回に三番・小園海斗が二死から中越え二塁打で出塁すると、マクブルームは2球で2ストライクと追い込まれたが、戸郷翔征のフォークを見極めて四球で出塁。続く坂倉の左前適時打で先制点を奪った。

長打力もあるが、ボールを的確に見極める選球眼も持つ


 待望の一発が出て気分も楽になっただろう。7日の同戦では2点を先制された直後の初回二死一塁で堀田賢慎の直球を左翼スタンドに叩き込む1号同点2ラン。来日初アーチで試合の流れを引き戻し、勝利に大きく貢献した。この試合では7回無死一、三塁の好機でビエイラの151キロ速球が左後頭部付近を直撃。倒れ込まずに自力で歩いてベンチへと退いた。「頭部打撲」で容体が心配されたが、9日の阪神戦(甲子園)から「四番・一塁」でスタメン復帰。6回に左翼線適時二塁打を放つなどマルチ安打の活躍でチームの勝利に大きく貢献した。

希少な「左投右打」として


 日本球界では珍しい「左投右打」。米国でも通算4000打数以上の打者でリッキー・ヘンダーソンなど2人しかいない。来日した外国人野手の歴史を紐解くと、ハル・ブリーデン(元阪神)、ダグ・オルト(元阪神)、ルイス・メディーナ(元広島)、マーク・キャリオン(元ロッテ)、デーモン・ホリンズ(元巨人)、カイル・ジェンセン(元ソフトバンク)が数少ない「左投右打」だった。マクブルームは広島のチームメートとも積極的にコミュニケーションを取る姿が見られ、ファンからも愛される存在になりつつある。今後どのような活躍を見せてくれるか。広島の命運を握るキーマンであることは間違いない。

写真=BBM
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