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プロ野球史上最低勝率.063と苦戦続く阪神 打撃不振の糸原健斗が上位浮上のキーマンか

 

52イニング連続適時打なし


チーム状況と同じく、打撃の状態が上向かない糸原


 ここまで白星から見放されるとは、誰も想像できなかっただろう。阪神が開幕17試合を終えて1勝15敗1分。3月25日の開幕戦・ヤクルト戦(京セラドーム)で7点リードをひっくり返される大逆転負けから9連敗を喫すると、4月5日のDeNA戦(甲子園)で西勇輝が完封勝利でチームにシーズン初白星をもたらしたが、翌6日の同戦から引き分けを挟んで6連敗。借金は14までふくらみ、プロ野球史上最低勝率.063に。首位・巨人とのゲーム差は早くも10.5まで開いた。

 打線のテコ入れも功を奏さない。6試合連続3得点以下と貧打に苦しんだため、14日の中日戦(バンテリン)では開幕から四番で起用し続けていた佐藤輝明をプロ入り初の二番に抜擢したが、4回無死一塁で二ゴロ併殺に倒れると、6回二死一、三塁の好機も二ゴロ。4点差を追いかける9回に先頭打者で中前打を放ったが、佐藤輝に笑顔はない。試合中盤から好機を何度もつくるが難敵・柳裕也にあと1本が出なかった。9回に大山悠輔の中犠飛で零封負けは逃れたが、52イニング連続適時打なしと打線がつながらない。

「マルテが右足のコンディショニング不良で戦線離脱し、ロハス・ジュニアも状態が上がらないためスタメンを外れているので打線に迫力がない。相手バッテリーは佐藤輝、大山をケアすれば良い状況になっている。気がかりなのは糸原健斗ですね。六番で走者をかえす役割を期待されていますが、なかなか状態が上がってこない。守備範囲が広い選手ではなく、打ってナンボの選手です。糸原が打てば得点力も上がる。上位浮上のキーマンになる存在だと思います」(スポーツ紙記者)

プロ3年目でキャプテン就任


 糸原の持ち味は対応能力の高さだ。さまざまな打順で起用されるが、フォア・ザ・チームの役割を全うする。直球に強くコンスタントに結果を残すので、首脳陣とすれば計算できる選手だろう。恵まれた体格ではないが身体も強い。プロ2年目の2018年にチームで唯一の全143試合出場し、打率.286、1本塁打、35打点をマーク。阪神の内野手でプロ入り後2年目までに全試合出場を果たしたのは2リーグ制以降で1981年の岡田彰布、05年の鳥谷敬に次いで史上3人目の快挙だった。

 球団史上最速のプロ3年目で主将に就任した19年も2年連続全試合出場。昨年も二、三、五、六、七番とチーム事情に合わせてさまざまな打順で起用されたが、125試合出場で打率.286、2本塁打、30打点と結果を残した。

開幕戦ではマルチ安打をマーク


開幕戦では適時三塁打を放つなど2安打2打点の活躍だったが……


 今年は春季キャンプの序盤に新型コロナウイルスに感染して出遅れたが、開幕のヤクルト戦(京セラドーム)では「五番・二塁」でスタメン出場。3回に右翼の頭上を越す2点適時三塁打を放つなどマルチ安打を記録した。幸先良いスタートを切ったかに見えたが、低迷するチームと共にその後は快音が聞かれなくなった。17試合を終えて打率.183、0本塁打、2打点。チームも苦境にあえぎ、誰よりも悔しい思いをしているだろう。

 打撃不振が続いてもスタメンで起用され続けているのは、矢野燿大監督の信頼の証ともいえる。まだペナントレースは120試合以上残っている。内野陣の支柱として復調してもらわなければ困る存在だ。

写真=BBM
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