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リーグトップの10セーブ到達 巨人・大勢が怖いのは故障だけ?「新人王の最有力候補」の声が

 

開幕戦からセーブをマーク


150キロを超える剛球で相手を抑え込む大勢


 若手の躍動が目立つ巨人。その中でも守護神・大勢の存在が非常に大きい。

 4月19日の広島戦(東京ドーム)で2点リードの9回にマウンドに上がると、坂倉将吾を一ゴロ、會澤翼を投ゴロ、大盛穂を二ゴロといずれも150キロを超える直球で三者凡退に仕留めてリーグトップの10セーブ目を挙げた。

 昨季の守護神・T.ビエイラ、来日通算32セーブの実績があるデラロサが不調でファーム調整が続いている。阪神の新外国人・ケラーが抑えで機能せず低迷しているように、抑え投手が固定できなければ苦しい戦いを強いられる。守護神に抜擢されて活躍している大勢の存在なくして、巨人は開幕ダッシュに成功できなかっただろう。3月25日の開幕戦・中日戦(東京ドーム)で40年ぶりとなる新人開幕戦セーブを挙げると、史上初の初登板から7試合連続セーブ。新人の開幕戦から2試合連続セーブ、初登板から7試合連続セーブはいずれも史上初の快挙。4月9日のヤクルト戦(東京ドーム)ではプロ初白星を挙げた。

「150キロ後半の直球はスピードガン以上に速く感じる。あとナチュラルに若干シュート回転するので右打者は食い込んでいる軌道で打ちにくい。対左打者が課題と言われていますが、内角も臆せずに突けるし、フォークの精度を磨けば対応できると思います。何よりメンタルが強い。ピンチでも雰囲気に呑み込まれず、堂々と自分の投球ができる。問題は長いシーズンを完走できるかですね。首脳陣も登板過多にならないように細心の注意を払うと思います。その部分をクリアすれば、間違いなく新人王の最有力候補でしょう」(スポーツ紙記者)

いまの使い方ならばてる


 川口和久氏も週刊ベースボールのコラムで、その点を指摘している。

「いまジャイアンツで怖いのは、未知数と思われながら頑張っている彼らが落ちてきたら誰が次に来るんだ、ということだ。大勢がそうだが、この使い方ならどこかでばてる。過去は主戦クラスがばてた夏場くらいに若手が上がってきたが、今回は逆。二軍にいる新外国人が上がってきたとしても、すぐアジャストできるかは分からないしね。もう一つ気になるのは中継ぎ陣だ。俺がコーチ時代に感じたことだが、中継ぎの踏ん張り次第で勝つ試合が年間10試合程度ある。そこは選手の力もあるけど、投手コーチが誰をつぎ込むか、どこで代えるかのさじ加減も重要だ。原監督は投手起用を桑田真澄コーチに任せているという。今はうまくやり繰りしているが、これから1年間をどうしのいでいくか」

「すべての野球ファンを魅了できる選手に」


4月19日の広島戦で10セーブ目を挙げ、先発の戸郷翔征[右]とともにお立ち台へ


 高い潜在能力を秘めた大勢だが、関西国際大でリーグ通算4勝3敗と際立った成績を残しているわけではない。度重なる新人の故障や、新型コロナウイルス感染拡大の影響で3年春のリーグ戦が中止になるなど、目立った活躍をしたのは4年秋のみだ。

 開幕してまだ21試合しか消化していない。今後は他球団も研究を重ねるだろう。万全の状態でない時期もあるが、その状況でも抑え切るのが一流投手といえる。大勢は巨人にドラフト1位で指名された際の記者会見でこう語っている。

「1年目からどんどん投げたいと思っています。新人王やタイトルに食い込んでいけるような選手になりたい」と誓った上で、阪神ファンだったことに報道陣から質問が及ぶと、「自分は阪神ファンだったんですけど、阪神と勝負できた時は『阪神にいてほしかったな』と、阪神ファンもすべての野球ファンも魅了できるような選手になりたい」と思いを語っている。

 巨人の「不動の守護神」へ。信頼を積み重ねるために右腕を振り続ける。

写真=BBM
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