昨季の成功率は.686
西川はどれほどの成功率でいくつの盗塁を重ねていくか
新天地で
楽天の
西川遥輝はよみがえるのか。開幕から一番に座り16試合の時点で5盗塁、盗塁刺は1。まずまずの滑り出しと言っていいだろう。昨年は
日本ハムでケガもあって不振にあえいだ。バットだけではない。足でもだ。「足にスランプはない」と言われるが、果たして本当か。24盗塁で盗塁王に輝いたものの、盗塁刺は11。成功率はわずか.686だった。
通算盗塁数で歴代最多を誇るのは言わずと知れた「世界の盗塁王」
福本豊(阪急)。史上空前の1000盗塁超えを果たしている。2位は南海の韋駄天・
広瀬叔功が596盗塁をマーク。やはり昭和の時代の「走り屋」たちが上位を独占し、平成デビューは9位につける
阪神のスピードスター・
赤星憲広だけだ。
ところが盗塁「成功率」に目を向けるとランキングが一変する。今回は「企図数200以上」を掲載したが、トップは
イチロー(元
オリックス)の.858で199盗塁に対して盗塁刺はわずか33。2位は現役の
山田哲人(
ヤクルト)、西川が僅差の3位で続き、ほかに
荻野貴司(
ロッテ)、
中島卓也(日本ハム)と4人の現役選手がトップ10に名を連ねている。3位の広瀬は「チームの勝利のための盗塁」をポリシーとしていたが、成功率にもそれが現れていると言えるだろう。1065盗塁を考えれば十分にすごいのだが、福本は.781で15位だ。
こうして数字を見ていくと、現代の盗塁は数とともに成功率が重要視されるようになっている、とも言える。その象徴が現役最多の316盗塁(4月21日時点)を誇り、成功率でもトップに迫る西川なのだ。2位の山田はこの2年間、8盗塁、4盗塁と数を大きく減らしており、西川が本来の姿=「成功率」を取り戻せば、近いうちに現役トップに躍り出てもおかしくはない。そもそも「企図数200以上」を「200盗塁以上」と条件を変えれば、すでに西川がトップという見方もできる。
成功すればチャンスを拡大し、何より野球においてもっともスピード感を味わうことができるプレーの一つである盗塁。だが、失敗すればアウトが一つ増えて走者も消えるという大きなリスクをはらんでいる。単純に数を積み上げればいい、というわけではない現代における盗塁は、成功率も合わせて追っていくことで、さらに趣が深くなっていくはずだ。
写真=BBM