春の県大会は準々決勝敗退
1年夏の甲子園から横浜高の背番号1を着ける杉山。バランスの良いフォームで、将来性が抜群である
3月31日。横浜高の2年生左腕エース・杉山遥希はセンバツ決勝を生観戦した。大阪桐蔭高が近江高(滋賀)を18対1で下し、4年ぶり4度目の優勝を飾った春の頂上決戦である。村田浩明監督は「全国レベルを感じてほしい」と、主将・玉城陽希(3年)、2年生四番・萩宗久とともに甲子園の雰囲気を肌で味わった。
杉山は昨夏、背番号1を着け、2回戦に進出した甲子園で2試合に登板している。横浜高で1年夏にエース番号を背負うのは、
愛甲猛氏(元
ロッテほか)以来と言われている。
新チームの昨秋、横浜高は新型コロナウイルスの感染者が確認された影響で、県大会を出場辞退。杉山は戦わずして、1年秋の戦いを終えている。
「(今春の)センバツを落として、今回の春は神奈川で優勝して、関東大会へ駒を進め、夏への弾みにしたいと思っていました」
桐光学園高との準々決勝(4月24日)。先発した杉山は6回途中10安打6失点で降板し、チームも1対7で敗退を喫した。
「先週(4回戦、対横浜隼人高、6回2失点)はボールが荒れてしまい、準々決勝までの期間で修正してきました。指にかかったボールはありましたが、コントロールが甘かった。もっとコースにピタピタに決めていかないと。チェンジアップが決まらなかったので、崩す投球をしていきたい」
7奪三振とボール自体は良かったが、やや一本調子な部分があり、桐光学園高打線は逆方向を意識した「徹底力」で攻略してきた。村田監督は「もう2ランクアップしないと、夏の甲子園出場は難しい」と、期待しているからこそ、厳しい言葉を並べた。
貫禄のピッチングを目の当たりにして
杉山には、気になる存在がいる。
大阪桐蔭高の2年生左腕・
前田悠伍だ。近江高とのセンバツ決勝では先発で7回1失点(11奪三振)。杉山は貫録のピッチングを目の当たりにした。
「(前田投手は)オーラがあって、マウンド度胸がある。自分には足りないと思いました。つけていかないといけない部分です」
技術的にはこう、踏み込む。
「すごい球速を出していて(前田の自己最速は145キロ)、いつか追い抜かないといけないピッチャーです」
スピードで勝負しようとは思っていない。「球速よりも、ボールのキレと伸びです」と、杉山は自身のスタイルを熟知している。
「夏までに、自分がエースの自覚を持って、頑張っていきたい」
歴代の先輩がつないできた伝統校・横浜高の「1」。直立不動で取材対応した杉山は、巻き返しを固く誓っていた。
文=岡本朋祐 写真=菅原淳