週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

中日戦でプロ最短KOも…巨人のドラフト3位右腕・赤星優志に「菅野智之の後継者」の声が

 

チーム首位快走の立役者


開幕から先発ローテーション入りしたドラフト3位右腕・赤星


 プロの厳しさを感じただろう。巨人のドラフト3位右腕・赤星優志が4月24日の中日戦(バンテリン)で3回途中7安打6失点のプロ最短KO。三塁ベンチで唇をかみしめる表情に、悔しさが垣間見えた。

 生命線の制球力に苦しんだ。初回にビシエドの左前適時打で先制を許すと、2回も無失点に切り抜けたが、福谷浩司大島洋平に連続四球で二死満塁のピンチをつくるなど本来の状態ではない。打線の援護で5点リードの3回に踏ん張れなかった。一死満塁から石川昂弥に右中間へ走者一掃の適時三塁打を浴びると、京田陽太に左中間適時三塁打と中日打線の勢いを止められず、マウンドを降りた。チームも逆転負けを喫し、連勝が6で止まった。

 この試合は乱調だったが、チームの首位快走の立役者であることは間違いない。開幕3戦目・中日戦(東京ドーム)でプロ初登板初先発に抜擢されると、6回1失点と好投した。4月3日の阪神戦(東京ドーム)は7回2失点の快投でセ・リーグの新人で初勝利一番乗りに。10日のヤクルト戦(東京ドーム)も7回2失点の好投を見せた。打線の援護がなくプロ初黒星を喫したが試合を作る能力が非常に高い。17日の阪神戦(甲子園)でも6回2/3で1失点ときっちりまとめて2勝目を挙げた。

大学4年春に評価急上昇


 アマチュア時代は日の目を浴びてきたわけではない。日大鶴ケ丘高では甲子園出場が叶わず、プロ志望届を提出したが、指名する球団はなかった。日大に入学後も目立った成績を残せず、3年秋は5試合登板で防御率は3.38。最終戦に先発したが打ち込まれ、東都リーグ二部優勝を逃した。この時点ではドラフト候補としても厳しかった。

 このままでは変わらない――。赤星は自分の課題を見つめ直して思い切ったフォーム改造に着手する。「ストレートと変化球で、腕の振りやリリースポイントが違うというのは、下級生のころから気づいていたんです。簡単に変化球だと分かるような投げ方をしていたら、プロはおろか、大学でも通用しない。自分の投球動画を見ながら、キャッチボールやネットスローを繰り返してフォームを固めました。冬は走り込んで下半身も強化し、長いイニングでも投げられるようにしよう、と」。

 フォームを改良して臨んだ4年春は、二部リーグで9試合に登板して防御率は0.78。直球と同じ腕の振りでツーシーム、カットボール、スライダー、フォークと多彩な変化球をコーナーに投げ分ける。直球勝負でムキになる以前の姿は消え、メリハリをつけたクレバーな投球で見違えるように良くなった。プロのスカウト陣からの評価が一気に上がったのは当然だろう。

プロではカーブがアクセントに


 巨人に入団後は、桑田真澄投手チーフコーチから教わったカーブが緩急をつける上で大きなアクセントになっている。強打者相手にも臆せずに内角をどんどん突き、マウンド上ではポーカーフェースを貫く。頼もしい姿はプロ向きの投手と言える。

「完成度の高い投手でドラフト3位まで残っていたのが不思議なぐらいです。堀田賢慎山崎伊織と将来が楽しみな先発投手が出てきていますし、切磋琢磨してほしいですね。戸郷翔征と共にエース・菅野智之の後継者になれる可能性を秘めた投手だと思います」(スポーツ紙記者)

 プロ最短KOの悔しさを糧にして、次回登板で雪辱を期す。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング