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新顔の投手陣たちが起爆剤に。巨人が得た「粘り」という新たなカラー

 

2年ぶりのV奪回に向けて巨人が絶好のスタートを切った。不安視されていた投手陣の踏ん張りが打線に勢いを生む相乗効果。粘り強く、勝負強く、着々と勝ち星を積み上げている。

想定以上の「新顔」の活躍


ルーキーながら抑えでフル回転する大勢[中央]を筆頭に、新たな顔ぶれとなったリリーフ陣の奮闘が躍進を支えている


 オープン戦で12球団最下位タイだったことなど、もう誰も覚えていない。東京ドームでの中日との開幕シリーズを2勝1敗で滑り出すと、続くヤクルト阪神相手に6連勝。その後はやや停滞するも3連戦では必ず1勝を挙げて3連敗は回避。4月17日の阪神戦(甲子園)で勝利したあとは、いずれも上位対決となった広島、中日相手にも3連勝と2勝1敗で早くも2度目の6連勝。26日のDeNA戦(横浜)には負けたが、翌日の同カードは8対2と大勝で2位・広島には2.5ゲーム差をつけている。

 好調の最大の要因は、先発・リリーフともコマ不足がささやかれていた投手陣だ。開幕先発ローテーションに山崎伊織堀田賢慎、新人の赤星優志と公式戦登板ゼロの3人が名を連ね、抑えを任されたのもドライチ右腕の大勢。中継ぎ陣の整備もままならなかった状況では未知数ゆえ不安視されるのは当然だったが、抜てきされた「新顔」たちが想像以上の活躍で期待に応えた。

 まだ往時の迫力はないがエースの菅野智之が最低限の仕事を果たす中、赤星、山崎伊、堀田がしっかりゲームをつくり、さらに新助っ人のM.シューメーカーが好投を続け、昨季11勝の高橋優貴も復調気配と一気に厚みが増してきた。28試合を終えた4月27日時点で先発の平均イニングは約6回、防御率3.17、延べ19人が責任投手となっており、先発陣はしっかりとゲームメークに成功している。

 中継ぎ陣の働きはそれ以上と言っていいだろう。11セーブを挙げている大勢へつなぐ、という絶対的な型ができたのはもちろんだが、「つなぐ」面々の顔ぶれががらりと変わっているからだ。

投打の好循環


 左は先発の座を狙っていた今村信貴が10試合連続、右は開幕直前に支配下復帰した鍬原拓也が9試合連続で開幕から無失点と首脳陣の信頼をつかみ、リードされた展開でも平内龍太戸田懐生らが粘り強く逆転への道筋をつける。

 オープン戦終盤にかけて昨季のブルペンを支えた中川皓太鍵谷陽平の出遅れ、T.ビエイラ、R.デラロサの絶不調を見た原辰徳監督と桑田真澄投手チーフコーチがしっかりと中継ぎ陣を再編した準備の賜物だろう。その結果、赤星、堀田にリリーフでは大勢、戸田、平内と5人が初勝利をマーク。4月までに初勝利が5人出るのはNPB史上初で、「若武者たちが結果を出してくれるというのはチームとしても大きな力」と指揮官も目を細める。

一番に吉川が定着したことも大きい。これにより原監督が思い描く打線が実現した


 打線においては長年の課題だった「一番問題」にメドが立った。「一番として存在感が出てきた」と原監督も称える吉川尚輝だ。27日時点で打率.321、出塁率.379、リーグ3位タイの16得点と攻撃の起点になっている。指揮官は丸佳浩松原聖弥、さらには坂本勇人など開幕に向けて一番を模索してきたが、吉川がはまったことで二番に坂本を置く理想どおりのオーダーが実現。リーグトップの22打点を挙げる四番・岡本和真、五番・丸佳浩の脇を固めるG.ポランコ、A.ウォーカーという2人の新助っ人がしっかり戦力となっていることも大きい。

 投手陣の踏ん張りに攻撃陣が応えるという好循環は、19勝のうち10戦が逆転勝ちという数字にも表れている。粘り強く、勝負強く。「紙一重」と気を引き締めながらも「よく粘りながら、最後は勝ちというものを取ることができている」と原監督が言うように、これまでにないチームカラーを完全に自分たちのものにすることができれば、これからもペナント争いをリードしていくはずだ。

写真=BBM
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