週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

異例の“投げられない”大学生のドラフト上位指名からプロ初勝利をつかんだ巨人・山崎伊織

 

リハビリに費やしたルーキーイヤー


4月28日のDeNA戦でプロ初勝利を挙げた山崎伊


 3度目の先発マウンドでプロ初勝利を手にした。4月28日のDeNA戦(横浜)、巨人の先発・山崎伊織は6回3安打無失点の好投。7対0の勝利に貢献したがヒーローインタビューでは「うれしいです」と笑顔がはじけた。

「2回、開幕から先発させていただいたんですが、思ったような結果が出ず、二軍で調整して先発をもう一度させていただいたので。何とか抑えられるように、絶対抑えようと思って頑張りました。この2週間という時間を有意義に過ごせた中で、真っすぐの出力や制球力、そういうところしっかり意識してやってきました。初回から点を取っていただいて、岸田(行倫)さんにリードで引っ張ってもらって、テンポ良く投げられたので良かったと思います」

 ルーキーイヤーの昨季はリハビリに費やした。東海大4年だった2020年6月に右ヒジのトミー・ジョン手術を受け、巨人から2位で指名されたドラフト時もリハビリの真っただ中。入団1年目に投げられない大学生には異例といえる上位指名だった。

 2019年に首都大学リーグで春秋連続MVPを獲得。リーグ戦通算成績は17試合に登板して11勝1敗、防御率1.09の圧倒的な力を誇っていた。巨人の大塚淳弘球団副代表編成担当は指名当時、「ケガがなければ12球団とも3本の指に入る評価だったと思う。来年のドラフト1位を2人獲得できた。『再来年ローテーションで2ケタ勝てる』と原(辰徳)監督とも言っています」と明かすなど、潜在能力の高さは折り紙つきだった。

 昨年は一、二軍で試合出場なしに終わったが、秋季練習が行われていた11月20日、ジャイアンツ球場のマウンドには、181センチ、75キロのスリムな体型から勢いよくボールを投げ込む背番号19の姿があった。バックネット裏から熱視線を送った原監督がつぶやいた。

「実戦的だよね。シュートがすごい。アウトローの真っすぐの精度が上がれば、スライダー、シュートは(活用)できるから。一流の投手になる可能性を持っているね」

 シート打撃で菊田拡和、育成の加藤廉に対して計17球。直球の最速は148キロを計測。だが指揮官の高評価を引き出したのは、2度、バットをへし折った威力のあるシュートだった。

 エース候補が踏み出したプロでの“第一歩”。背番号19の未来が楽しみだ。

写真=山口高明
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング