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4強進出で“歴代最強”となった藤沢清流。エース・木島直哉は「もう1回ハマスタでプレーしたい」と新たな決意

 

10失点も出せた持ち味


藤沢清流高の135キロ左腕・木島直哉は今春の県大会4強進出の原動力となった


 勝ち上がらなければ経験できない、貴重な138球だった。藤沢清流高の左腕エース・木島直哉(3年)は、桐蔭学園高との県大会準決勝で8回10失点。チームは8回コールド敗退(2対10)を喫した。神奈川の県立校・藤沢清流高にとっては、初のベスト4のステージ。試合会場は神奈川高校野球の聖地・横浜スタジアムだった。

「ハマスタは初めてです。マウンドが硬くて、ふだんとは違う。もっと、ここで順応していけるようにしていかないといけない」

 準々決勝から有観客。この日の藤沢清流高の応援席では、ブラスバンドによる学校応援が初めて展開された。これまでの空気感と異なり、雰囲気にのまれた。木島は立ち上がりに3失点と、平常心を保つことができなかった。

「どこかに『ボール球を投げてはいけない』という意識が働いてしまったんです。引いたプレー……。腕を振っていかないと、勝負にならない。攻めることの大事さを学びました」

 2回以降は立ち直ったものの、中盤以降は味方の失策が重なり、ピンチの場面で粘り切ることができなかった。とはいえ、相手校の桐蔭学園高・片桐健一監督は「対右打者のインコース真っすぐが良いと聞いていましたが、試合になってみないと分からないことがある。今日は変化球が良かった」と高評価。自己最速135キロのストレートにカーブ、スライダー、スプリット、ツーシーム、チェンジアップを駆使して6奪三振と、持ち味は出せた。

好きな投手は大野雄大


 185センチの大型左腕は神奈川県出身だが、小学6年から中学3年までは愛知で過ごした。当時、ナゴヤドームに足を運ぶ機会があり、好きな投手は中日大野雄大。内角を強気に突くスタイルにあこがれを持っている。

「自分たちの代は2019年春の県ベスト8進出を見て、入学してきた。先輩方が遂げた準々決勝進出をまずは目指し、歴代最強になろうとやってきました」

 連合チーム(津久井・相原・橋本・厚木清南・愛川・中央農)との1回戦を突破(5対2)すると、2回戦では私学の光明相模原高に7回コールド勝ち(9対2)を収め、三番打者でもある木島は自ら本塁打(高校通算11号)を放った。3回戦では公立の実力校・橘高を延長11回の末に制し(4対1)、4回戦では、3回戦で昨秋の準優勝校・向上高を撃破した相模原弥栄高を振り切った(6対4)。チームの目標であった8強進出で夏の第2シードを獲得。そして、私学の立花学園高との準々決勝はサヨナラ勝ち(4対3)で4強進出により、第1シードを手にした。

「夏の目標はベスト4」


「歴代最強」となったが、本当の戦いは夏である。桐蔭学園高との準決勝敗退を経て「公立と私学の差は相当ある。ウチのグラウンドは狭く、(コロナ禍で)練習時間も限られており、いかに集中して取り組むかにかかっています」と、今後の取り組みを再確認した。今大会、木島は6試合中4試合で完投し「公立の星」として、強烈なインパクトを残した。

「夏の目標はベスト4。真っすぐのスピード、変化球のキレ、メンタリティーも磨いて、もう1回、ハマスタでプレーしたい」

 横浜スタジアムの一塁ベンチに腰掛けて取材に応じた木島は、決意を新たにしていた。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明
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