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首都大学リポート

守備や小技を磨いて激しい競争を勝ち抜きスタメン入りした日体大・相澤利俊/首都大学リポート

 

「伸びしろもあると考えています」


日体大の3年生・相澤は武蔵大2回戦では一時勝ち越しのスクイズを決めるなど、3打数3安打の活躍を見せた


【5月1日】2回戦(武蔵大2勝)
武蔵大6−5日体大

 日体大・相澤利俊(3年・山梨学院高)は野球界では珍しい左投げ右打ちの一塁手だ。

「野球を始めた小学1年のときから左で投げて、右で打っていたのですが、父がその自然のままにしてくれたんです」

 山梨学院高では甲子園に3回出場。投手としても聖地のマウンドを踏んだが「大学ではピッチャーとして通用しないと思っていたので、日体大に入学したのを機に野手一本に専念することにしました」と振り返る。

 しかし、200人を超える部員数を誇る日体大でメンバーに入ることは容易ではない。しばらくはチームの三軍暮らしで「高校時代の同級生だった野村健太(早大)や高垣広大(日大)がリーグ戦で戦っている姿を見て『うらやましいな』と感じていました。でも、その一方で『自分も同じようにプレーしたい』と強い気持ちを持つようになったんです」とモチベーションを高く持ち続けた。

 バッティングでは「バットに当てる技術やヒットゾーンにボールを落とせるのが長所」という一方で、パワー不足に悩まされていたこともあり、体作りに励んだ。

「高校までは本格的なウエートトレーニングをしたことがなかったので、デッドリフトでは100キロも上げられなかったのですが、今は160キロまで上げることができるようになりました。まだまだだとは思いますが、その分、伸びしろもあると考えています」

 日体大で生き残るために取り組んだのが、守備や小技だ。

「自主練習の時間を使って、守備やバントなど自分にできることは100パーセントの確率で実行することを目標にしています」

 こうして選手としての安定感を手に入れた相澤は、今春の開幕戦となった桜美林大1回戦でリーグ戦初出場(一塁手の守りから)。チームを率いる古城隆利監督も「しっかり守って、サインプレーもきっちりとこなす。言葉は悪いかもしれないけれど、とても便利な選手」と評価しており、第3週の東海大3回戦からは一塁手としてスタメンに抜擢されている。

充実した大学生活を送る


 優勝の行方を大きく左右する第5週の武蔵大2回戦(5月1日)でも八番・ファーストで出場。すると、3打数3安打の大当たりで、7回表の第4打席では勝ち越しのスクイズを決めた。「実は前週の筑波大戦でバントをミスしてしまったんです。それで、この1週間は学生コーチにボールを投げてもらって、毎日欠かさずバント練習をしてきました。スクイズのサインが出た時も『このために練習してきたんだ』と自信を持っていましたし、思いどおりに決められたと思います」と、しっかりと期待に応えてみせた。

 しかし、チームは無念の逆転負け。連敗で勝ち点を落としたが「このまま終わるわけはないと思っているので、来週も全員が一つになって戦っていきたい」と前を向いている。

 卒業後の進路については「教職免許を取りたい」と考えており、来年は教育実習が控えているという。現在は「朝は8時から練習があって、9時20分から大学の講義。そして、授業が終わったらグラウンドへ行って16時30分から20時くらいまで練習しています」と大学の講義と野球を両立させる日々。相澤は言う。「大変ですけれど、充実しています」と話しており、充実の大学生活を送っている。

取材・文=大平明 写真=高野徹
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