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ベースボールゼミナール

バッティングセンターを利用して打撃技術を高めるには?/元ソフトバンク・柴原洋に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は打撃編。回答者は現役時代に巧打の選手として活躍した、元ソフトバンク柴原洋氏だ。

Q.元マリナーズのイチローさんは、小学生のころ、年末年始の定休日以外のほぼ毎日、バッティングセンターに通っていたことは有名です。イチローさんのように、バッティングセンターを利用して打撃技術を高めるためには、どのようなことに注意して行えばいいのでしょうか。(東京都・30歳)


マリナーズ時代のイチロー


A.小学生、中学生ならばフォーム固めを意識してください。もう少し上の年代ならスピードボールへの慣れにも有効です

 今はプロ野球選手などの投球フォームを、バッティングマシンの前に設置されたモニターに映し出し、その動きにリンクしてボールが投じられるので、ピッチャーのフォームにタイミングを合わせる練習にも良さそうです。私たちが学生のころにはまだそのような設備はなかったですから、いわゆるマシンそのものにタイミングを合わせて打つような時代でした。マシンにもアームタイプ、ホイールタイプと種類はさまざまで、特にホイールタイプに合わせるのが苦手な人は一定数いるように思います。プロでも極力、打撃投手やコーチ、練習パートナーに投げてもらうことを好む選手もいました。マシンに合わせるのではなく、投球フォームをイメージしながら、それをマシンにリンクさせて打つことが求められると思います。

 バッティングセンターを利用するときに意識してほしいのは、フォームを固めることです。ある程度まとめて量が打てますから、フォームが固まっていない選手には最適ですし、プロでも自主練習などではマシンを相手に打ち込んでスイングを固めることがあります。大事なのはしっかり振れるスピード(球速)のボール(レーンというのでしょうか)を選択し、まずはそのケージで打ち始めることでしょう。

 いきなり速いボールを打つと、目が慣れたり、スピードボールへの感覚は身に付く利点はあるものの、当てるだけになったり、フォームが小さくまとまってしまう恐れがあります。段階を踏んで、緩いと感じるくらいの球速からスタートし、しっかりとスイングすることを心掛けてください。しっかりスイングすることで体のキレも出てくるので、そこから徐々にスピードを上げていくのがいいでしょう。小学生や中学生年代だとバッティングセンターの活用法としてはこのあたりでしょうか。

 スイングが固まり、もう一段上のカテゴリーでプレーする選手たちにとっては、スピードボールへの慣れに利用するのもいいでしょう。例えば、次の対戦相手のエースが速球派。130キロ、140キロを打っておこうという練習もありだと思います。これはプロでもやる取り組みです。通常よりも球速を速く設定したマシンを打つのです。このように、目的を持ってバッティングセンター、マシンを利用するのがいいと思います。有効に活用してみてください。

●柴原洋(しばはら・ひろし)
1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。

『週刊ベースボール』2022年4月4日号(3月23日発売)より

写真=Getty Images
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