週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

今季初黒星も防御率0点台 阪神・青柳晃洋に「不動のエース」と高評価の声が

 

抜群の安定感のクォータースロー


5月6日の中日戦でサヨナラ負けを食らったが、最後まで好投を見せた青柳


 最下位に低迷する阪神で孤軍奮闘の活躍ぶりを見せているのが青柳晃洋だ。

 5月6日の中日戦(バンテリン)は9回まで散発2安打無失点の快投。延長10回二死まで走者を1人も出さない完全投球だった相手左腕・大野雄大に一歩も引かなかった。延長10回にサヨナラ打を浴びて今季初黒星を喫したが、今季4試合登板で3勝1敗、防御率0.76と驚異的な安定感を誇る。

 今年は自身初の開幕投手に内定していたが、新型コロナウイルスに感染した影響で出遅れた。チームも開幕ダッシュに失敗しただけに思うところがあっただろう。

 今季初登板となった4月15日の巨人戦(甲子園)で8回7安打1失点に抑えてチームの連敗を6で止めると、続く22日のヤクルト戦(神宮)で左打者6人を並べた相手打線に2019年4月29日の中日戦以来3年ぶりの3安打完封勝利を飾った。29日の巨人戦(東京ドーム)でも左打者7人を並べてきた相手打線に、プロ最多タイの129球の熱投で要所をきっちり抑える。6安打2失点で2試合連続完投勝利を飾った。

 サイドスローとアンダースローの中間である「クォータースロー」の変則フォームで自身の生きる道を見つけた。入団時から直球の威力に定評があったが、制球力、フィールディング、左打者に対して相性が悪いなど課題が指摘されていた。だが、その壁を一つひとつ乗り越えて進化していった。19年に9勝をマーク。20年は7勝にとどまったが、福原忍投手コーチの助言で一塁側プレートを踏むようになると、外角低めに沈むシンカーで左打者から内野ゴロを仕留められるようになり投球の幅が広がった。昨季は自己最多の13勝を挙げて最多勝を獲得。金メダルに輝いた東京五輪で侍ジャパンのメンバーにも選出された。

「緩急自在の投球で打者を翻弄するが、一番の強みはピンチでも腕を振って内角を果敢に突けるところだと思います。もちろん全試合で勝利を目指しているが、青柳が投げる試合は絶対に落とせないという空気がチーム内に流れている。不動のエースになりつつあると言ってよいでしょう」(スポーツ紙記者)

OB岡田氏の期待も高い


 阪神OBで野球評論家の岡田彰布氏は週刊ベースボールのコラムで、青柳に対して期待の高さをつづっている。

「彼は初の開幕投手に選ばれ、極めて順調に、ここまで調整してきた。それがここに至って、新型コロナの陽性者に認定され、球団はしっかりと対策を取ると決めた。これにより開幕投手プランは消え、チームとしても先発ローテーション再編に頭を痛める事態に陥った。オレは今シーズンのセ・リーグ最多勝候補に青柳を推している。そこにこのアクシデントだ。影響が極めて薄く、早い段階でスタートを切ってもらいたいと願うし、青柳に対する評価にはいささかの変化もない。今週の週ベの後ろカラーミニ特集がタイトル争いについて。だからまず『セ・リーグの最多勝投手』について書く。本命はもちろん青柳である。昨年も13勝で最多勝に輝いているが、今シーズンはさらに力量アップ。十分に連続タイトルに挑めると見ている」

「青柳の課題はコントロールだった。崩れるのは四球絡みがほとんど。それでもパワー投球でねじ伏せてきたという印象が強い。もちろん今シーズンも同じ課題を背負うが、ここまでを見る限り、自滅することはないと判断できる。先発して7イニング、そら2、3個の四球を出すだろう。でも、これはあとにひかない。切り替えて、勝負できる術を確実に手にしている。それを裏付けるオープン戦だった。先にも書いたが、昨年が13勝。正直、これは不満である。昔のように最多勝を獲るなら20勝以上……なんてことは通用しないのは分かっている。でも、せめてタイトルを獲るなら15勝以上。ここは個人的に譲れないところなんよね」

 チームは苦しい戦いが続いているが、青柳が白星を重ねることで流れを変えたい。

写真=栗山尚久
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング