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巨人は坂本勇人を欠く緊急事態を乗り越えられるか…セ・リーグ6球団「遊撃手事情」は?

 

ダイヤモンドの華であるショート。野手の中では最も高い身体能力を求められると言っても過言ではなく、内野の要となるポジションだ。開幕から1カ月半が経過したが、果たしてセ・リーグ6球団の「遊撃手事情」は?
記録は5月9日現在

読売ジャイアンツ



 キャプテンにして強打の二番、不動のショートである坂本勇人の存在の大きさを痛感させられている。開幕直前の離脱からは早期復帰を果たしたものの、4月30日の阪神戦(東京ドーム)で右ヒザじん帯を痛めて再び戦列を離れた。5月3日からのマツダ広島での広島戦では、第1戦で代役・廣岡大志のエラーからチームはリズムを崩し、チームは計4失策で3対12と大敗。湯浅大もキャプテンの穴を埋めるには力不足で、さらに二塁の吉川尚輝も負傷離脱し、「坂本勇人の後継者」と目されているもののまだ高卒2年目の中山礼都をスタメン起用するなど、二遊間はスクランブルに陥っている。守備からリズムをつくることができず、一・二番を失った攻撃陣も下降線。キャプテンの復帰までどう踏みとどまることができるか。

東京ヤクルトスワローズ



 レギュラー不在の正遊撃手の座をつかんだのは、20歳の若燕だった。高卒3年目の長岡秀樹は開幕から全33試合先発出場中(うち31試合がフル出場)。今春は新型コロナウイルスの影響で、急きょ一軍キャンプに参加したことも昔の話だ。3月25日の阪神との開幕戦(京セラドーム)では4安打。7点差からの大逆転勝利に貢献した。経験と実績で上回る他球団の遊撃手と比べても守備の安定感はそん色なし。フットワーク、グラブさばきも軽快だ。ただ、開幕戦で火を噴き、5月6日の巨人戦(東京ドーム)では初本塁打を記録した打撃は打率.228でリーグ28位と苦戦中。レギュラー定着へ向け、バットで数字を残したい。

広島東洋カープ


広島・小園海斗


 遊撃のレギュラーとして開幕から全36試合に出続けている小園海斗。守備面では二遊間を組む菊池涼介からも積極的にアドバイスを乞い、着実にレベルアップ。特に併殺の場面では、トスの投げ方や送球の強さにも気を配るとともに「キクさんからは『“自分からゲッツーを取りにいかせる”という考えを持ってほしい』とも言われました」。しっかりとした連携を見せている。しかし、守備面とは対照的なのが打撃面。開幕からなかなか調子が上がらず、打率はいまだ1割台(.180)。佐々岡真司監督も「小園はここを乗り越えないといけない選手」と辛抱強く見守っているものの……。目標としていたフルイニング出場も途切れ、打順も三番から今は下位打線に回っている。5月8日のDeNA戦(マツダ広島)では、しっかりとしたスイングで今季1号。マルチ安打も記録した。何とか浮上のきっかけをつかもうと、背番号51は必死にもがいている、


中日ドラゴンズ



 開幕から遊撃を守り続けてきたのは京田陽太だ。開幕からというより、新人王を獲得したルーキーイヤーの2017年からチーム不動の遊撃手。しかし極度の打撃不振で打率は1割台の低空飛行。それでも立浪和義監督は「八番だと思えばいい。守りをしっかりやってくれれば」と我慢してきたが、5月4日のDeNA戦(横浜)で記録こそ内野安打だったものの、捕球した打球を取りこぼし、「守りもあれでは……。何より戦う顔をしていない」と二軍降格を決めた。現在の遊撃は代わりに昇格した三ツ俣大樹、またプロ10年目の溝脇隼人堂上直倫が務める。さらに今季は外野一本のはずだった根尾昂にも再びの遊撃指令が出ている。京田が復調するのか、ほかの選手たちがこの隙にチャンスをものにするのか。今後の正遊撃争いに注目だ。

横浜DeNAベイスターズ


DeNA・大和


 開幕戦は遊撃を柴田竜拓が守ったが、その後、新型コロナウイルスの陽性判定を受け離脱したこともあり、ここまでの出場数は大和がトップで27試合。続いて柴田が10試合、知野直人が1試合という順となっている。ここ数年は、相手投手の左右や相性、コンディションを考慮して大和と柴田が併用されているが、表現を変えれば、両者ともにレギュラーに固定されるだけの決め手を欠いているとも言える。春季キャンプでレギュラー候補として注目されたのが森敬斗。オープン戦での負傷によりファームで調整を重ねてきたが、実戦復帰が近そうだ。シーズン中盤以降、先輩2人の間に割って入る可能性はある。

阪神タイガース


阪神・中野拓夢


 下肢のコンディション不良で二軍キャンプを過ごし、開幕に間に合うか微妙な状況だと言われていた中野拓夢。しかし、開幕戦から37試合すべてに出場し、遊撃のレギュラーとしてその地位を築き始めている。ルーキーシーズンの昨季、30盗塁をマークして盗塁王に輝いた足は健在。今季もここまで8盗塁でリーグトップタイだ。安打も近本光司を差し置き、チーム最多の41安打を放つなど打撃は好調だ。守備ではチーム最多の4失策を犯しているが脚力、強肩を生かして、時に好守備を披露するなどファンを魅了している。

写真=BBM
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