高いレベルにある打撃技術
四番に抜てきされた男が見事に期待に応えた。5月11日のヤクルト戦(神宮)。不振の
ビシエドに代わって
中日の四番に座ったのはA.マルティネスだった。前日まで19試合に出場して打率.314、1本塁打、2打点をマークしていたA.マルティネス。2回、先頭で打席に入ると
吉田大喜が投じた3球目、真ん中ストレートを見逃さず、左翼席へたたき込んだ。中日は5投手が完封リレー。A.マルティネスの2試合連続決勝弾で、2対0で勝利を飾った。
2018年3月にキューバから背番号210の育成選手として中日に入団したA.マルティネスは同年にウエスタン・リーグで39試合出場、打率.239、0本塁打、9打点。19年は52試合出場、打率.257、2本塁打、21打点と成長の跡を見せ、20年7月1日に支配下登録される。同月5日の
巨人戦(東京ドーム)で「八番・捕手」で来日初スタメン。外国人捕手として日本球界で29年ぶりの先発マスクだった。20年は39試合出場で打率.295、2本塁打、13打点。打力を買われて一塁で起用されることもあり、シーズン終盤には四番で起用された。
しかし、昨季は48試合出場で打率.244、2本塁打、7打点と不完全燃焼に終わった。新しく中日を率いることになった
立浪和義監督はA.マルティネスを主に外野で起用する方針を明言。今季は左翼でのスタメン出場を増やしていた。
解説者時代からA.マルティネスの打撃を評価していた立浪監督。週刊ベースボールのコラムで「バッティングに関しては、かなり高いレベルにあります。ステップが狭く、軸回転ができていますし、逆方向にも強い打球を弾き返しています」と高評価を下していた。
ユリエスキ・グリエル(元
DeNA、現アストロズ)、
フレデリク・セペダ(元巨人)らがあこがれの選手だったというA.マルティネス。このまま四番に定着して、チームをさらに上昇気流に乗せることができるか。
写真=川口洋邦