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首都大学リポート

大引啓次氏の指導も打撃のプラスに。打点1位と勝負強さを発揮する日体大・本間巧真/首都大学リポート

 

地道な体力強化も吉


日体大・本間は左打席から勝負強い打撃が持ち味。東海大相模高では3年夏の甲子園を右翼手で出場し、2試合で9打数4安打を記録


【5月14日】1回戦(日体大1勝)
日体大5−4帝京大

 日体大・本間巧真(3年・東海大相模高)が首都大学リーグの打点部門でトップに立った(5月14日時点)。

 第7週の帝京大1回戦(5月14日)。2点を追う7回表に無死一、二塁の好機で左打席に立つと、真っすぐを鋭く振り抜いた打球は右中間を破る同点の適時三塁打。この一打で打点を2つ積み上げ、13打点(10試合)とした。

「打点が多いのは前のバッターがつないでくれているおかげ。チームメートに感謝します」

 今春はシーズン開幕当初から好調を持続。開幕カードとなった桜美林大との2試合では2本の三塁打を放つなど、5打点と好スタートを切った。その理由について、こう語る。

「この冬はコロナ禍もあって1、2月は自主練習で、その期間はまったく技術練習ができませんでした。主将の打田啓将(4年・宇部鴻城高)や松浦佑星(3年・富島高)らと一緒に、ウエートトレーニングやランニングをして、徹底的に体を追い込んできました」

 地道な体力強化が、吉と出たのである。

 昨年から日体大で臨時コーチを務める元ヤクルト大引啓次氏からの指導も大きかった。

「リラックスして打席に立って、キャッチボールをするときと同じような感覚で打ちにいくように助言されました。そうすることによって、足を上げてから間が長くとれ、ボールをよく見ることができるようになったんです」

 精神的な部分で支えになっていることもある。

「自分はおじいちゃん子だったのですが、昨年12月に祖父が亡くなりました。それで、今も形見のメガネをカバンに入れて持ち運んでいます」

 ときには、ネクストバッターズサークルでバットを握りしめながら、「おじいちゃんに『力を貸してくれ』と祈ることもある」と明かす。

優勝の可能性が消滅しても


 心技体を高め、成果を出していくなかで打順は六番から五番。そして、この帝京大1回戦では「人生で初めて」という四番に抜擢された。「試合前のミーティングからサプライズがあると聞いていたのですが、本当にビックリしました。でも、四番は気持ちいいですね」。その言葉のとおり、強心臓ぶりを発揮し2安打2打点と、チームの逆転勝利(5対4)に貢献。この試合、二番・投手で出場した投打二刀流の矢澤宏太(4年・藤嶺藤沢高)に4勝目をプレゼントした。

 日体大は前週でリーグ優勝の可能性が消滅。それでも本間は、レギュラーとしての自覚を胸にグラウンドに立っている。

「部員数が多いなか、その代表として試合に出させてもらっているので、優勝がなくなったとしても関係ありません。自分は前を向いて進んでいくだけです」

 同時に白星への意欲は、絶対に失わない。

「優勝してこそ、応援してくださっている皆さんに恩返しができると思っているので、これからも勝利に対する気持ちを強く持って戦いたい」

 東海大相模高では3年夏に激戦区・神奈川を制して甲子園出場。横浜スタジアムでの日大藤沢高との決勝の記憶が、本間の脳裏に焼き付いている。試合内容ではない。

「スタンドでは、在学中に甲子園でプレーでなかった先輩たちが、応援に駆けつけていたんです。その声援が耳に入り、試合後は泣いてしまいました」

 本間は自分のために、プレーしているのではない。すべてはチームのため、という根底がある。約300人の部員が在籍する日体大において、ベンチ入り25人は狭き門だ。本間は皆が喜ぶために、全力でバットを振り続ける。

取材・文=大平明 写真=BBM
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