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首都大学リポート

東海大Vの原動力となった左腕・岩本真之介。「連打は打たれない投手」と監督も絶賛/首都大学リポート

 

心を入れ替えてトレーニング


東海大の2年生左腕・岩本は武蔵大2回戦で、7安打2失点完投でリーグ優勝を決めた。


【5月22日】2回戦(東海大2勝)
東海大4−2武蔵大

 東海大が武蔵大2回戦(5月22日)で勝利し、2季連続75度目となる首都大学リーグ戦で優勝。全日本大学野球選手権大会に3年ぶり39回目の出場を決めた。

 リーグ制覇の原動力となったのは今季7試合の登板で7勝(無敗)、防御率0.95と抜群の安定感を見せた左腕・岩本真之介(2年・市和歌山高)だ。

 昨秋まではリーグ戦で未勝利。「制球が悪くて、力んだら抜ける。変化球はショートバウンドになってしまう状態でした」。春までの期間で心を入れ替えトレーニングに励んだ。

「昨年までは『自分ならやれる』という根拠のない自信があり、練習量も少なかったんです。今季は井尻陽久監督から『真剣にやらないと先がないぞ』と言われ、自分も幼いころから『野球で食べていけるようになりたい』という気持ちを持っていたので、モチベーションを高め、トレーニングに励んできました」

 体作りのためにランニングやウエートトレーニングを重ねた。

「ベンチプレスやスクワットをやっていたのですが、スクワットはこれまで浅くやっていたのをフルスクワットにし、120キロの重さで10回やるようにしました。すると、尻が大きくなって足も太くなり、ボールの伸びや強さも変わってきたんです」

 高校時代60キロ台だった体重は80キロに。フォームも安定し「右打者にも左打者にもインコースのギリギリ当たらないところへ投げられるようになりました」とコントロールも改善して自信を深めていった。

 今季初登板となった、日体大2回戦では6安打1失点で完投勝利。その後も快投は続き、桜美林大戦2回戦では延長10回タイブレークを一人で投げ切り2失点完投。武蔵大1回戦では初完封と、破竹の6連勝を飾った。

 井尻監督も「ボールに角度があるので、バッターを差し込んでいる。そうそう連打は打たれない投手」と評価。岩本が「ジェットコースターのようにホップするイメージで投げている」という威力を増したストレートは自己最速の145キロをマークした。

高校の後輩から刺激


 リーグ優勝をかけた武蔵大2回戦。先発した岩本は「緊張はありませんでしたが、コントロールと変化球の精度がもう一つ。これまでリーグ戦を戦ってきた疲労と暑さもあって4回からキツかった」と振り返る。それでも要所を締める投球で2失点。今季4度目となる完投勝利で見事、胴上げ投手となった。

 試合後はチームメートから人生で初という胴上げを味わい「7勝にちなんで、7回上げてもらったのですが、気持ち良かったです」と笑顔を見せた。

 岩本は市和歌山高時代に2年春のセンバツ出場。開幕戦となった呉高の1回戦では延長11回を投げ切り、2安打2失点で完投勝利を挙げるなど、3試合に登板してチームの8強入りに貢献した。同校の1学年下には昨年のドラフトで1位指名を受けたDeNAの右腕・小園健太ロッテの正捕手・松川虎生がいる

 また、2学年下には今春のセンバツ8強でドラフト候補に名前が挙がる右腕・米田天翼もいる。市和歌山高の先輩、後輩から刺激を受けた岩本は飛躍の春となった。しかし、まだシーズンは終わっていない。6月6日には全日本大学選手権が開幕する。「優勝して、個人的には最優秀選手を目指したい」と目標を掲げ、2014年以来の大学日本一を目指していく。

取材・文=大平明 写真=BBM
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