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驚異のペースで安打を重ねる明大2年・宗山塁。高山俊の歴代1位131安打を塗り替えられるか?

 

初の首位打者の可能性も


明大・宗山は立大3回戦の9回裏に右前打。今春、24本目のヒットでリーグトップの打率.429[5月23日現在]で全日程を終えた


 東京六大学リーグ戦は5月23日、明大が立大3回戦で勝利(延長11回サヨナラ、1対0)し、勝ち点5の完全優勝(10勝3敗2分)を決めた。広島森下暢仁が主将だった2019年春以来の天皇杯奪還である。

 神宮の杜にニューヒーローが現れた。明大の2年生・宗山塁(広陵高)だ。左打席からシュアなスイングでこの春、24安打を放ち、リーグトップの打率.429(3本塁打、13打点)で全日程を終えた。初の首位打者のタイトルは、最終週の早慶戦での結果次第となっている。

 何が驚きかと言えば、安打量産ペースである。宗山は1年春に6安打を記録。リーグ戦初安打は法大・三浦銀二(現DeNA)の内角直球を右翼席へ運ぶ、技ありのアーチだった。インコースのさばきは天性のセンスと言える。

 遊撃手のレギュラーに定着した1年秋は打率.378(14安打)で初のベストナインを受賞。今春の数字を加え、2年春を終えて44安打。歴代1位の131安打の明大・高山俊(現阪神)は同時点で49安打。単純比較はできない。

 昨秋まではコロナ禍のリーグ戦運営で、各校10試合のポイント制で9回打ち切りだった。今春から従来の勝ち点制(2戦先勝)に戻り、明大は今春、15試合を戦った。高山は2年春までに41試合で172打席に対して、宗山は33試合で139打席。気の早いのは承知の上で、通算安打記録の更新に期待がかかる。

【明大・高山俊の東京六大学打撃成績】
▽2012春〜15秋
    試合 打席 打数−安打 打率
1年春 13  51  48 − 20  .417
1年秋 14  64  60 − 16  .267
2年春 14  57  54 − 13  .241
2年秋 12  50  44 − 13  .295
3年春 14  63  56 − 19  .339
3年秋 14  65  53 − 19  .358
4年春 12  54  51 − 17  .333
4年秋  9   40  38 − 14  .368
計   102  444  404 −131  .324

【明大・宗山塁の東京六大学打撃成績】
▽2021春〜
1年春  8  28  25 − 6   .240
1年秋 10  42  37 − 14  .378
2年春 15  69  56 − 24  .429
計   33  139  118 − 44  .373

広陵高での3年間が糧に


 宗山は広陵高で1年夏、2年春の甲子園出場。最上級生では主将を務めた。3年夏はコロナ禍で、甲子園出場をかけた地方大会が中止。無念の思いを味わったが、広陵高で過ごした3年間は、充実の時間であったと胸を張って言える。学校、グラウンド、寮が同敷地内にあり、中井哲之監督の下、約130人の部員が家族のように共同生活。心技体を鍛え、男を磨き上げた。3年夏の県大会後も、高校卒業まで休まずに練習を継続してきたことが、明大での1年春からの活躍につながった。

 安打を放っても一塁ベース上では、感情を一切、表に出さない。2年生とは思えない風格と、落ち着きがある。今春の活躍により今後、相手校バッテリーのマークもより厳しくなるだろう。しかし、宗山は動じない。誰にも負けない練習量と、探求心が裏付けとしてあるからだ。どんなに騒がれても、謙虚な姿勢を崩さない。好きな言葉は広陵高の教えである「ありがとう」。宗山は常に感謝を胸にグラウンドに立つ。4年秋まで残り5シーズン、どのような成長曲線を描くのか、目が離せない。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明
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