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伊原春樹WEBコラム

巨人・岡本和真にはアレックス・ラミレスのような“最高の四番”になってもらいたい/伊原春樹WEBコラム

 

通算150本塁打に到達


巨人の四番としてチームを牽引する岡本


 巨人の岡本和真が5月29日の日本ハム戦(札幌ドーム)で通算150本塁打を放った。634試合出場での達成は巨人の日本人選手として1986年原辰徳(現監督)の645試合を抜いて最速記録だという。今季ここまで15本塁打は村上宗隆(ヤクルト)と並んでリーグトップ、41打点は村上に次ぐ2位。岡本は2年連続で本塁打王、打点王の“2冠”に輝いており、王貞治さん(元巨人)、野村克也さん(元南海)に次ぐ、史上3人目の3年連続“2冠”の可能性も十分にある。

 今季は打率が.228と低迷しているが、得点圏打率は.302。四番として勝負強さは発揮しているが、もっと研鑽を積んでアレックス・ラミレスのような主砲になってほしいと思う。2007年から10年まで、私は巨人ヘッドコーチを務めたが08年にヤクルトからラミレスが移籍してきた。ラミレスは四番としてチームを牽引したが、本当に真面目なプレーヤーだった。

 ともに同じユニフォームを着た3年間の成績は以下だ。08年は打率.319、45本塁打、125打点、09年は打率.322、31本塁打、103打点、10年は打率.304、49本塁打、129打点。09年は首位打者、10年は本塁打王、08、10年は打点王を獲得している。08、09年の優勝に貢献してくれ、09年には7年ぶりの日本一にも押し上げてくれた。

四番として08、09年に巨人を優勝に導いたラミレス


 打席ではきちんと相手の配球を読んで打つ。時に内角の難しいボールを見事に打ち返していたが、何も考えずに打席に立っていてはとらえることはできない。ラミレスに聞くと、「ワタシはピッチャーよりキャッチャーを意識しています」。捕手のリード傾向を調べ上げ、それを頭へインプットして打席に臨んでいるのだ。だから、その日、登板する先発投手ではなく、マスクをかぶる捕手がだれかを常に気にしていた。

 さらに打撃練習では、打撃投手が普通に投げる球をすべてフルスイング。1球たりとも気を抜くことなく、すべて左翼スタンドへたたき込む意識でバットを振っていた。それだけ全力で練習をしていて疲れないかと思ったが「アメリカでは練習内容が濃くなければ試合に使ってもらえないと言われたので、絶対に手を抜かない」と口にしたのを聞いて、感心したものだ。

 本当に素晴らしい四番だったラミレス。このまま成長曲線を描けば岡本も成績的に、存在的にラミレスを追い抜く日がやってくるだろうが、その日を楽しみに待ちたい。

写真=BBM
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