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“泣き虫集団”日本ハムの劇的1週間。『ファンは宝物』はともに喜び、成長する戦い

 

「世界中の野球好きのファンに見せたい」


5月27日の巨人戦に勝利し、1番ポーズを決めるBIGBOSS


 前年はリーグ5位。しかも西川遥輝(現楽天)らが抜け、開幕から5連敗。この時点では、新庄剛志監督(BIGBOSS)のパフォーマンスのみが目立つ1年になるのかと思った人が多かっただろう。実際、3月1勝5敗、4月8勝14敗と最下位が続き、主軸の近藤健介が5月4日の練習中に右脇腹を痛め離脱。前年規定打席到達者が淺間大基だけとなった。

 近藤のケガを「厳シンジョー」と冗談めかした指揮官だが、ここから少しずつ変わっていく。5月10日のオリックス戦(札幌ドーム)に敗れたあと「一軍に残りたいという姿勢が見えない。バットを出さない限り一生結果は出ない」と、公には初めての選手への厳しい言葉を発した。これにBIGBOSSチルドレンが発奮。チームは開幕3連敗の相手ソフトバンクへの3タテを含め4連勝を飾っている。

 迎えた交流戦。まず神宮でのヤクルト3連戦は連敗スタートとなった。24日は1対1で迎えた延長11回二死から抑えの北山亘基村上宗隆にサヨナラ2ラン、翌25日は3対0のゲームを7回に追いつかれたが、8、9回で加点し6対4とリードも、またも北山が山崎晃大朗にサヨナラ3ランを浴びる。9回二死一、三塁からダブルスチールを仕掛けた際、三塁走者・清宮幸太郎のスタートが遅れ、本塁でアウトとなったシーンがあったが、際どいタイミングで清宮はベンチにリクエストを求める仕草をするも「ミス。そういうところじゃない」とBIGBOSSは応じず。「あんなミスをしたら一生上に上がっていけない」とも言った。

 3戦目も熱闘。3対5で迎えた9回表に万波中正アルカンタラが連続ソロ本塁打で同点。延長10回表には4点を奪う。その裏、北山が全23球真っすぐで1失点に抑え、セーブを挙げ、「ここで逃げたら何の成長もない」と涙を浮かべながら語った。1勝2敗の負け越しながらBIGBOSSは「この3試合、世界中の野球好きのファンに見せたいくらい」とコメントしている。

まさに有言実行の戦い


 27日からは入場制限がなくなった札幌ドームの対巨人3連戦。初戦は123球でエースの上沢直之が完投勝利(2失点も自責は0)。「(ヤクルト3連戦は)魂が動かされるような熱い試合でした。あの試合を見て何も思わないようじゃ男じゃない」と語り、5回には万波の失策で2失点はあったが、「ミスをカバーするのが僕の仕事」とさらに力を込め腕を振った。

 試合後、悔し涙を流す万波に「北山に万波。泣き虫集団、いいね」とBIGBOSS。スタンドファンの声援に「1番ポーズ」で応えた。翌28日は4対8で敗れたが、続く29日はインスタライブで決めたスタメンで勝利。ファンの推しでスタメン出場し、お立ち台にも上がった杉谷拳士は「この1週間いろいろ経験できた。僕らが成長していく姿を見てください」と得意のジョークはなしで、真顔で言い切った。

『ファンは宝物』。BIGBOSSが掲げたチームスローガンだ。それはファンに媚びるという意味ではない。ファンに恥じない戦いをし、ともに喜び、成長する戦いなのだろう。今年の順位は分からないが、BIGBOSSが、まさに有言実行の戦いをしていることは間違いない。

写真=BBM
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