週刊ベースボールONLINE

大学野球リポート

慶大・清原正吾の献身的な精神 ベンチでの“明るさ、声”と2安打2打点で“四番の仕事”

 

「チームの勝てる一本が出せて、ホッとしています」


慶大・清原正吾は5月31日、東大とのフレッシュトーナメントで初打点&初マルチ安打。試合中は時折、笑顔を見せ、ベンチワークにおいてもチームの勝利に貢献した


 チームのために動く。慶大の四番・清原正吾(2年・慶應義塾高)にはプレーヤーとしての献身的な精神が、根底にある。

 冬場から意識してきたことを問われると、こう答えた。

「取り組んできたのはベンチワークで、ベンチでの明るさ、声。打撃では、四番の仕事をまっとうしようと思いました」

 2年生以下でチーム編成される東京六大学の2022春季フレッシュトーナメント。5月30日の法大とのブロックB初戦は4打数無安打に終わったが、31日の東大戦は先制打を含む2安打2打点とチームの勝利(7回コールド、10対2)に貢献した。

 中学時代はバレーボール部、高校時代はアメリカンフットボール部に在籍。慶大入学後、小学生以来、6年ぶりに白球に触れ、硬式野球は初めての経験だった。父は西武巨人オリックスでNPB通算525本塁打を放った清原和博氏。高校3年生時、新型コロナウイルスの影響で、部活動が停止。この期間に「弟とオヤジ、家族で練習したんです。僕自身、野球が好きなんだな、と。大学ではやろうかな、と思いました」と、決意を固めたのが、野球部入部のきっかけだった。

 入学した昨年、1年春からフレッシュトーナメントに出場。春は2試合(代打、先発)で4打数無安打、秋は全3試合先発出場で、2試合で四番起用されたが9打数1安打の成績だった。そして今春、デビュー7試合目での初打点にマルチヒットと成長の跡を残した。

「チームの勝てる一本が出せて、ホッとしています」

 昨夏の北海道遠征で3学年上の正木智也(現ソフトバンク)から軸足の使い方を教わり、その成果を神宮で発揮したのである。

自ら選んだ背番号「5」


 同大学の野球部ホームページには「尊敬する人」に「両親」を挙げ、昨春、その理由についてこう語っていた。

「父は(大学入学前に)打撃をいつも優しく教えてくれた。指導も分かりやすく、自慢のオヤジです。母は高校までお弁当を作ってくれ、部活のサポートをしてくれた。尊敬している」

 親への恩返しを形で示した。昨春、秋は背番号25だったが、2年生になり、自身で選択できることとなり「5」をセレクトしている。

「自ら希望しました。自分のカッコいいオヤジの背番号(巨人、オリックス時代)ということもありますし、大学から野球を始めると決めた以上は親孝行したいと思ったので、5を着けました」

 最高の恩返しはリーグ戦で活躍することだ。

「僕自身、慶應義塾の部員として貢献できるのはフィールドに立ってプレーすることなので、そこを目指して、秋も頑張っていきたい。まずは自分の結果よりも、チームの優勝に向けて全力を尽くしたい」

 チームのため、そして家族のために白球を追う。清原のマインドが、ブレることはない。

写真=矢野寿明
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング